保育園の必要性を痛感していたのは林さんも同じだ。早稲田大学を卒業後、検察官を経て弁護士に。米国の弁護士事務所での研修を終えて帰国、2人の娘を保育園に預けて働こうとしたが空きはなかった。近所の公園で園児を遊ばせる保育士に「なんとか入園させてください」と直訴。幸運にも2人とも入園できた。長女が小学校に入るまで、朝7時45分から夕方6時45分まで保育園に預けた。

弁護士として生活者の目線を貫いてきた。注力したのが薬害訴訟の弁護。血友病患者の息子に母親が注射した非加熱製剤が原因で、子どもがエイズウイルス(HIV)に感染。その民事訴訟の弁護団にボランティアで参加した。

「由(よ)らしむべし知らしむべからず」という医療のあり方が問題と考える。患者には余計なことを知らせず、国や医療機関に任せておけば良い、という構造が悲劇を招く。薬の危険情報を患者が知っていれば、当面は使わない選択をした患者もいたはずだ。

規制改革会議で議論した混合診療の解禁も背景は共通。例えば、がん患者は、保険外の抗がん剤治療を保険医の主治医がやってくれたら、経済的、精神的負担は大幅に軽減される。必要な情報を基に患者が自由に治療法を選べる。これが混合診療解禁の意義だと思っている。

薬のネット販売に関する規制も患者などの立場からみて納得がいかない。処方せん薬や一般薬になって3年未満のものは、本人が薬剤師と対面しないと買えない。「薬の販売には五感が必要」(厚労省)なのが理由。だが「熱を出した娘のために母親が薬をもらいに行ったり、年老いた母親の代わりに娘が薬局に出向いたりできない今の規制は、見直すべきだ」(林さん)と強調する。

規制改革の議論に女性が必要なのは、違う視点の意見が出てくるからだ。職場に外国人が少ない日本では、性差が多様性の第一歩になる。予定調和はいらない。異なる意見が出なければそこに革新もない。女性は生活者として、規制を作る側には見えないものもよく見える。林さんは「これからも理不尽と感じる規制を変えたい」と話す。

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「これって変」疑問大事に 稲田・規制改革担当相

稲田さんに規制改革における女性の役割を聞いた。

稲田朋美・内閣府特命担当相

政府の有識者会議などに女性が参加すると間違いなく議論が活性化する。男性委員の多くは、落としどころを考えて議論する。女性は疑問を素直にぶつけるし、最後まであきらめず、しつこく提言する。「規制改革女子」の5人もそうで、原点は「これって変じゃない?」という原理原則を重んじる視点だ。

大臣室で女子会をしたり、事前に作戦会議をしたりするから、官僚にとっててこずる相手だと思う。もう一つ私が所管している「国・行政のあり方に関する懇談会」も委員17人のうち10人が女性だ。

私たちの世代の女性が粘り強いのは、男女雇用機会均等法もない、働く女性に冷たい時代を生き抜いてきたからだろう。私も弁護士事務所に就職する時、5年間は結婚しないという条件だった。

働きながら2人の子どもを育てた。現職の総理が「働く女性が活躍しないと、この国は成長しない」と断言する時代になったのは感慨深い。

女性が働きやすくなるように、不要な規制をやめ、必要な制度を作る。例えば、会社に長くいなくても、働いた成果を評価する労働時間制度が浸透すれば、自宅で子どものそばで仕事ができる。これを「残業代ゼロ法案」などと頭から批判しないで、働く女性のためという視点で考えてほしい。女性の働き方が変われば、男性のワークライフバランスも変わるはずだ。

(編集委員 鈴木 亮)