昨年11月に社内の女性技術者7人で理系女性採用タスクフォースチームを結成した。問題を洗い出すとともに就職説明会で、女性技術者から見た会社の魅力ややりがいをアピール。従来は工学部の機械、電気電子、情報分野を中心に採用してきたが、この分野は工学部でも特に女性が少ない。対象を工学部の他分野や理学部、農学部にも広げた。

今春は技術職女性9人が入社し、来春は約30人。技術系総合職採用の1割強が女性になる予定だ。新屋敷室長は「さらに増やす」と強調する。

文部科学省の学校基本調査によれば大学の工学分野に占める女性の割合は12.3%。他分野に比べ圧倒的に少ない。「一番の原因は親と先生が工学系の女性を知らないから」。こう話すのは女性技術者のネットワーク、日本女性技術者フォーラム運営委員で東京大学工学系研究科広報室の永合由美子さん(52)だ。

工学分野で働く女性は企業の中におり、外部の目に触れにくい。親や先生は優秀な女子学生を医学部や薬学部に誘導しがち。女性自身も力仕事が多くとっつきにくいと思っている。

フォーラム運営委員長で富士通研究所専任研究員の金田千穂子さん(58)は「なぜを追究する理学に対し社会に役立つモノを作るのが工学。やりがいはあるし仕事も多様。企業の現状を知る父親がかかわれば変わるのではないか」と話す。

変化は始まっている。土木学会の正会員に占める女性の割合はまだ2.9%(14年3月)だが、若い世代が急増。半数強が20代だ。

多様な人材必要

学会のダイバーシティ推進委員会幹事長を務める山田菊子さん(49=東京工業大学研究員)は「我々の先輩は、噂は聞いたが見たことがないユニコーン世代。男女雇用機会均等法後の私たちは大手企業に1人くらいはいるパンダ世代。そこそこ見かけるシマウマ世代を経て、身近なネコのレベルになるのも時間の問題」と話す。

83年に30人ほどで発足した土木技術者女性の会も、14年には205人になった。東日本支部支部長で東京電力土木グループマネージャーの北原正代さん(46)は「土木工事はかつては事故を出さないための指示、命令が重視されたが、最近は住民との話し合いの大切さなども認識されるようになり、多様な人材を求めている」と話す。

土木好きな女性を指す「ドボジョ」なる言葉も誕生。漫画のヒロインにもなった。土木技術者女性の会ではロールモデルを集めた冊子を作成。土木学会でも女性土木技術者のキャリアガイド「継続は力なり」を発行した。「土木女性の増勢は止まらない」と山田幹事長。土木に限らず、工学系女性の進出が加速する可能性は大きい。

(編集委員 岩田三代)