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後絶たぬ品質・データ偽装 企業風土の改革が不可欠

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NIKKEI STYLE

三菱電機で鉄道車両向け部品の検査不正が明らかになりました。品質・データ偽装は2015~18年にかけて相次ぎ、一時は収まったように見えましたが、産業界全体としてまだまだ断ち切れていないようです。背景に何があるのでしょうか。

「三菱電機の不祥事は氷山の一角。一切、品質不正がないと自信を持って言い切れる企業はないのではないか」。品質不正に詳しいプロアクト法律事務所の竹内朗弁護士は製造現場はどこでも品質不正のリスクを抱えていると指摘します。納期、生産計画、収益――。様々なプレッシャーが製造現場に押し寄せ、品質・仕様が条件を満たさないのに製品を出荷してしまうのが品質・データ偽装です。

特徴は「本社から見えにくい子会社や、傍流部門で発生すること」(国広総合法律事務所の国広正弁護士)。三菱電機では30年以上にわたり鉄道車両用部品で不正が続いていました。空調機器でも新たに不正が見つかり、他の事業部門にも火の手が広がりそうな雲行きです。

「会社のため」「顧客のため」といった独善的な理由づけを当事者が行うのも品質不正の特徴です。危機管理の世界では不正の発生条件には「動機」「機会」「正当化」の3つがあるとされます。プレッシャーから逃れたい「動機」を持ち、会社のため仕方なくといった「正当化」によって不正に走る。過去の事例を見てもこの1つ、またはどれかが重なって不正が起こっています。

不正の「機会」になっているのが製造現場での硬直的な人事です。不正は本社から目が届きにくい部署で、特定の人物に一つの業務を長く続けさせる場合に起こるケースが大半。「人事ローテーションを頻繁に行うことが不正防止に役立つ」と専門家は口をそろえます。

不正が発覚すると株価下落や損害賠償の支払いなど会社はダメージを負います。「現場はそこまで目が向かない。教育・研修などで不正がいけないことを繰り返し教え込むことが必要」と森・浜田松本法律事務所の山内洋嗣弁護士は強調します。

対策は製造現場にとどまりません。品質をチェックする品質保証部門の改革も必要です。品質保証部門は一般に、会社の収益に直接貢献しないとして社内序列が低く、発言力が弱いとされます。「組織的な独立性を確保して製造部門へのけん制力を高める体制作りも併せて必要」(竹内弁護士)です。

最も難しいのが生産・納期優先の企業風土の改革です。経営コンサルティングのプロティビティ(東京・千代田)の神林比洋雄氏は、トップが「『これだけはやってくれるな』『不正は絶対に許さない』といった強いメッセージを発信することが社員の意識改革に有効」と指摘します。

山内洋嗣弁護士「製造現場だけの問題ではない」

三菱電機など日本の製造業で、品質偽装・データ改ざんに関連した不祥事が相次いでいる。日本の製造現場が抱える問題などについて、危機管理・コンプライアンス(法令順守)が専門の森・浜田松本法律事務所の山内洋嗣弁護士に聞きました。

――品質不正がなぜ止まらないのでしょうか。

「不正に関わった人などのヒアリングや、調査委員会の報告書などで浮かび上がってくるのは『会社のため』『顧客のため』に仕方なくやっている人が圧倒的に多いことだ。決して自分の懐を肥やすためではない。納期、売り上げ、目標必達といったプレッシャーを受け、『会社を守る』という誤った正当化意識によって行われる点で共通するところが多い」

「品質・データ偽装は誰でも手を染めてしまう可能性がある恐ろしい行為だ。大企業でも起きるし、真面目な人、会社を大切にする人ほど行ってしまいがちだ。特に大企業が地方に置く工場は人事が固定化しやすい。こうした閉鎖的な組織では、不正に対して声を上げづらい。また、現代では技術が高度化・複雑化している。技術・規制面での専門性も不正の隠れみのになる」

――製造現場にコンプライアンス意識が欠けている面もあるのでしょうか。

「現場の担当者は『やってはいけない』と心の中で承知していても、会社・顧客のためといった『誤った正当化』によって不正を続けてしまう。『品質さえ良ければ問題ない』とタカをくくっている事例も見られるが、不正が発覚した場合に会社がどのようなダメージを受けるのかという認識が不足している。株価の下落、信用失墜、損害賠償、行政当局の処分などが予想されるのに、こうした影響を現場は甘くとらえがちだ」

「例えば、海外の排ガス不正の問題では、罰金が数千億円に及ぶこともあった。また、医薬品など人体に取り込まれる製品や安全に関わる製品の品質を偽装し、最悪死に至れば、その損害賠償はもとより会社は致命的なレピュテーション(評判)ダメージを受ける。現場にコンプライアンスの意識を植え付けるためには、平時に研修を行うなど教育・研修を繰り返すしかない。また、そもそも品質不正ができないようにするシステムや機械を導入するなどして、人為が介在できない仕組みにすることも重要だ」

 ――不正を起こす企業では、長期にわたって同じ業務を担当する従業員がいるといった問題も目立ちます。

「特定の業務を同一人物が担当し続けることには良い面と悪い面がある。問題は属人的に行われている業務に対するチェックが適切に行われないことだ。定期的に人事異動を実施し、仲間内のなれ合いを排することが必要だ。これが不正をあぶり出したり、不正行為を抑止したりする効果を発揮する」

「しかし、人事が固定化しやすい工場では、閉鎖的な人間関係を背景として、組織を守るためにあえて不都合な真実を上司に報告しなかったり、不正行為を内部通報しても会社に取り合ってもらえないと萎縮して積極的に情報を報告しなかったりする可能性がある。この『情報の目詰まり』を防ぐためには、本社の人間や役員が出向いて現場とコミュニケーションを取るなど、通常の職階を飛び越えて接触機会を増やし、現場の情報を吸い上げることも有効だ」

――仕方がない、やむを得ないといった「誤った正当化」が現場にはびこるのは、長い経済低迷により製造現場が疲弊している影響もあるのでしょうか。

「日本の製造業は今でも自社製品の品質に自信を持っているが、伝統や歴史のある古い工場ほど設備の老朽化が進み、工程能力が低下している。最新の機械が投入されず、担当者が徒手空拳で戦っている現場もある。そこに厳しい納期や売り上げ、コスト低減のプレッシャーがかかれば不正が発生しやすくなる」

「日本企業にはまだ『売り上げ至上主義』が残っているようだ。こうした考えは往々にして、達成困難な納期、守れない価格・仕様など自社の実力やキャパシティーを超えた受注につながりがち。それが品質・データ偽装の温床になる。問題は、そのような過程で検査部門や品質保証部門の意見が通りづらいことだ。検査部門・品質保証部門の独立性を高め、達成困難な受注を防ぐことが大事だ」

「また、ビジネスをする以上、現場に無理を強いるような契約条件を見直して『儲(もう)かるビジネス』に転換することが、巡り巡って品質保証につながる。受注する以上は、適正利潤を確保できるような受注に絞るべきだ。また、付加価値が低い製品を日本で作り続けるのはリスクであり事業のポートフォリオを見直さなければならない」

「経営者は、品質・データ偽装を製造現場だけの問題にとどめず、会社全体の問題として受け止めるべきだ」

(木ノ内敏久)

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