高校生でありながら、素早く行動してモノをつくる「アジャイル思考」を身につけ「チームビルディング」を進め、PDCA(計画・実行・評価・改善)を回してプロジェクトの水準を上げ、社会貢献活動を実施したわけだ。どうやって大人顔負けの行動力や人間力が培われたのか。

世界を変える若手女性10人の1人に

重量50キロ以上の競技用ロボット

立崎さんは、世界の中高生が競う国際ロボットコンテスト「FRC」出場を目指すロボット競技チーム「SAKURA Tempesta(サクラテンペスタ)」のメンバーだ。リーダーとして約20人の中高生をまとめ、ロボットの設計・製作、そしてチームの運営を担っている。重さ50キロ以上のロボットを製作して海外の大会に搬送し、競技に臨む。ロボット製作やFRC参加・海外渡航には年間300万円程度の費用がかかる。

この資金をメンバーと一緒に募り、ボッシュなど約10社のスポンサーを獲得した。FRCはロボット製作を通じて社会に役立つスキルを磨いたり、社会に貢献したりすることを求めていた。立崎さんにとって、経験から出した1つの答えがフェースシールドの製作活動だった。

サクラテンペスタを通じて、テクノロジーのみならずビジネス性や社会性が育まれた。続いて渋幕生を中心に有志を集めて「CATI」というボランティア団体も立ち上げた。「日本は非常時の物資の生産・供給体制に課題がある。医療機関側にアンケート調査を実施して、データを分析して情報を公開するなど活動を始めている」と話す。メンバーは現在9人、近く12人に増えるという。

20年10月にはパソコン世界大手のレノボ・グループが、立崎さんを「世界を変える若手女性10人」のうちの1人に選出した。渋幕の田村哲夫校長は「世界の主要10カ国1万5千人以上の優秀な女性の中から選ばれたそうです。もちろん女子高生は1人だけ。多くの優秀な生徒をみてきましたが、驚きました」と語る。

埼玉から千葉に通学 桜蔭蹴っても渋幕

どんな幼少期を立崎さんは過ごしたのか。実は自宅は埼玉県さいたま市。「3歳の頃からホームセンターでネジやナットに興味を示していたみたいです。幼稚園の頃には電子工作に夢中になり、空も飛べる水陸両用車や自動運転のクルマをつくりたいと考えていました」と振り返る。父親は半導体関連のエンジニアで、物づくりには協力的だった。実際、初めてロボットの設計・製作に挑んだのは小学校3年生の頃だ。

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