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アイス、新ブランドなぜ育たない 定番が圧倒的強さ

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NIKKEI STYLE

梅雨明けした途端、やけに暑い。「暑いですねぇ」「いや、本当に暑いですねぇ」。こんなやり取りが挨拶代わりになっている。そもそも今年はエルニーニョの影響で冷夏になるのではなかったか? と思ったら、冷夏予報はいつの間にか取り消されていた。暑い夏の風物詩といえばアイスクリームである。誰もが幼い頃から親しんできたこのアイテム、実はなかなか複雑だ。

「スーパーカップ」はアイスクリームではない?

アイス売り場に並ぶ商品は厳密には4種類に分かれ、パックの「種類別」の欄に明記してある。分類の基準は乳成分。正真正銘の「アイスクリーム」は乳脂肪分を8%以上、タンパク質、乳糖など乳脂肪以外も合わせた乳成分を15%以上含むのが条件だ。「ハーゲンダッツ」を筆頭に、高級路線の商品が多い。

乳脂肪分3%以上、乳成分10%以上は「アイスミルク」で「チョコモナカジャンボ」(森永製菓)などが入る。乳脂肪分は問わず、乳成分3%以上だと「ラクトアイス」になり、以上の3種類に当てはまらないアイスキャンディーやかき氷は「氷菓」に分類される。

カップアイスの雄「エッセルスーパーカップ」(明治)は乳脂肪分を含まないラクトアイス。4種類の総称として使われる「広義のアイスクリーム」ではあるが、厳密な種類別ではアイスクリームではない。乳脂肪分が少ない分、原料コストが抑えられ、手ごろな値段設定ができる。こうした分類は国によって違うが、日本はかなり細かいようだ。

賞味期限ないアイス、売れ残り廃棄の心配無用

食品衛生法に基づくアイスクリームの種類
名称条  件商 品 名
アイスクリーム乳成分15%以上、うち乳脂肪分8%以上ハーゲンダッツミニカップ
アイスミルク乳成分10%以上、うち乳脂肪分3%以上チョコモナカジャンボ(森永製菓)
ラクトアイス乳成分3%以上エッセルスーパーカップ(明治)
氷菓上記以外の物ガリガリ君(赤城乳業)、あずきバー(井村屋)

日本アイスクリーム協会(東京・千代田)の集計によると2013年度のアイスクリームのメーカー出荷額は猛暑もあって4330億円と過去最高を更新した。アイスの出荷額は1994年度の4296億円をピークに03年度には3322億円まで減り、再び上昇に転じた。アイスクリームの業界誌を発行するアイスクリームプレス(東京・豊島)の二村英彰社長は「アイスの盛衰は流通の変遷と密接に絡んでいる」と話す。

1990年代ごろまで、アイスを買うのはもっぱら駄菓子屋だった。アイスはマイナス18℃以下で保管すれば細菌が増えないので賞味期限がない。「売れ残りによる廃棄の心配がなく、駄菓子屋にとっても扱いやすい商品だった」(二村社長)。

1977年生まれの筆者は夏休みになると、おやつの時間には小銭を握りしめて近所の駄菓子屋に向かい、赤城乳業の白ミツのかき氷を買ったものである。1987年生まれの同僚M君にとっても、アイスクリームとは「駄菓子屋のゴミ箱をあさって当たりクジを探したブラックモンブラン(主に九州で人気)」だという。「店のおばさんに『アイスのショーケースは3秒以内に閉めるんだよ!』と口うるさく言われたもんです」と彼は遠い目で述懐する。「1個1000円のアイスでもおいしければ迷わず買う」と言い切る40代の先輩記者も「アイスの原体験は駄菓子屋のスイカバー」という。

アイスの売り上げ減少もたらしたコンビニ

ところが90年代後半から、流通の主役としてコンビニが台頭する。コンビニが1店できると周囲の10店が消えるといわれた時代。駄菓子屋が消えるのに合わせ、アイスの売れ行きも落ち込んだ。バブルが崩壊し、メーカー間の安売り競争も激化。「付加価値の高い商品が減り、大人のアイス離れが起きた面もある」(日本アイスクリーム協会)

アイスの売り上げ減少をもたらしたのがコンビニなら、復活に一役買ったのもコンビニだ。駄菓子屋全盛の時代、メーカーは店にショーケースを貸与して自社の製品を売ってもらうことが多かった。ケースを埋めるために様々な商品を一通り提供していたが、コンビニは自前のショーケースを使い、各メーカーの売れ筋を選抜して販売するスタイル。売れなければすぐに外される。

同じ時期にスーパーの大型化も進み、本部での一括仕入れが主流になった。メーカーは生き残るため、広く浅い品ぞろえではなく「自社の強みを生かせる商品、ブランドに注力するようになった」(大手メーカー)。コンビニ店舗数の増加に加え、小売店自身が高付加価値のプライベートブランドアイスを売り始めたことも市場の拡大をもたらした。

年100億円以上売れるメガブランド 定番ばかり

新商品が売れるビール業界と違い、アイス業界では定番が強い。年間100億円以上売れるメガブランドは「エッセルスーパーカップ」「ガリガリ君」「チョコモナカジャンボ」「ピノ」など発売から何十年もたつものばかり。昭和30年代にルーツを持つ「ホームランバー」(イメージキャラクターは現役時代の長嶋茂雄氏)や「ジャイアントコーン」「赤城しぐれ」、同40年代の「あずきバー」「レディーボーデン」、同50年代の「雪見だいふく」なども改良を重ねながら、現役バリバリで存在感を発揮している。

なぜなのか。「主要購買層にあたる30~50歳代の女性は自分が食べてきたブランドを子供に引き継ぐ傾向がある」(大手メーカー)。「ゼロから新しいブランドを立ち上げるよりも知名度のある既存ブランドを磨いた方が効率がよいと判断したメーカーが多かった」(日本アイスクリーム協会)といい、新商品が定着するのは簡単ではない。

「あなたにとってのアイスクリーム」を職場の同僚に聞いてみたところ、スイミングスクールや部活などの思い出とセットになっている人が多かった。幼少時から知るブランドが変わらずにあるという幸せ。アイスクリームにノスタルジーが漂うのは偶然ではないのだ。

アイスを最もおいしく感じる気温は25℃

暑いと需要が伸びやすいアイスクリームだが、日本アイスクリーム協会の調査では「アイスが最もおいしく感じられるのは25℃」と答えた人が過半に上った。冷凍庫に入れておけば品質は落ちないが、一度溶けると口当たりを決める空気が抜けてしまうため、冷凍し直しても元には戻らない。あまりに暑いと食べている間にアイスが溶けて、口当たりが落ちてくる。思い出の賞味期限はないが、食べ方にはある。さらっと食べきるのがスマートだ。(吉野浩一郎)

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