赤い体に白い帯のクマノミ イソギンチャクと共生

イソギンチャクと共生するクマノミ

もう10年以上も前になるが、ディズニーのアニメ映画でオーストラリアのカクレクマノミが有名になった。クマノミの仲間はサンゴ礁を中心に世界で約30種、日本に6種。全部が大型のイソギンチャクと共生している。そのうちで最も北まで分布し、伊豆や房総の海岸にも現れるのがクマノミである。

卵を守るオス 次の産卵に備えるメス

クマノミが隠れるイソギンチャクは直径30センチくらいで、大きなものは1メートルにもなる。同一のイソギンチャクの中に、成魚のペアとずっと小柄な若魚数尾が一緒にいる場合が多い。

産卵期が近づくと、イソギンチャクの周縁の岩の表面を口で掃除し、長さ約2ミリの長楕円形の卵を2千~3千個産みつける。オスは約1週間、外敵から卵を守りながら、胸ビレで水を送ったり口でごみをくわえとったりして卵を育てる。メスはたまに卵の世話もするが、せっせと餌を食べて次回の産卵に備えて栄養をつける。

ふ化したての仔魚(しぎょ)はまだクマノミらしくもなく、ほとんど透明な動物プランクトンとして海面近くを漂いながら、もっと小さな動物プランクトンを食べて育つ。こうしてふ化後10日ほどたつと、体色が赤くなり白い帯が現れてクマノミの子らしくなって海底に下り、手近なイソギンチャクに入る。

オレンジ色の卵を守るクマノミのオス(撮影 葛西臨海水族園)

1つのイソギンチャクに成魚ペアと一緒にいる若魚がどこから来たのか、それらが親子関係にあるのかどうかは、ずっとだれも知らず、研究する人もいなかったが、わりと最近、オーストラリアの研究者がクマノミの仲間では大形のトウアカクマノミで、この難問題に挑戦していた。

大型イソギンチャクが合計40個体、そこに33組のトウアカクマノミのペアがいるのを確認した上で、それぞれのペアの産卵を3カ月間観察し続けた。卵から仔魚がふ化する前に卵塊を薬液処理して胎仔の耳石にマークを付け、この期間中にイソギンチャクに新しく入ってきた稚魚の耳石にマークがついているかどうかを調べた。