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おでかけナビ

2014/8/30

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全国で847店舗展開する丸亀製麺。自社競合などで成長が鈍化しているが、今後は出店数を縮小し、不採算店の閉鎖や業態転換などで安定化を目指す

天ぷら業態を立ち上げた背景には、基幹ブランド「丸亀製麺」に次ぐ第二の柱を育てる狙いもある。

丸亀製麺は2008年ごろから出店ペースを加速し、2013年まで年間100~120店舗と大量出店してきた。2014年3月期末で全国に847店舗まで拡大。セルフ方式の讃岐うどんチェーンとしては圧倒的な地位を築いたが、自社競合などで既存店の前年割れが続き、成長は鈍化している。

「外食産業は単一業態を多店舗化する時代から複数業態を運営する時代へと変わりつつある。基幹業態を安定化させると同時に、今後は1業態100店舗以内の業態も開発していく」と尾関氏。規模を拡大しなくても、天ぷらまきのには新しい飲食業態として大きなポテンシャルを感じているという。

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客の評判は上々だが、今後の大きな課題も

センタープラザ店と天神橋四丁目店は、テレビのグルメ番組で紹介されたことがきっかけで来店客が増え、売り上げはおおむね順調だ。

センタープラザ店の場合、26席で1日440~450人が来店。多いときは500人に上ることもある。一方、天神橋四丁目店は若干客数が落ちるが、客単価はやや高い。11時15分すぎから満席になり、14時まで客は絶えない。最近は天満界わいの年配客が多く、リピーターも増えてきた。女性スタッフが多いこともあり、女性の一人客もかなり多いという。夜はサラリーマンやカップル客が仕事帰りに立ち寄る。

客の評判は上々だ。市内で飲食店を経営しているという男性客は「天ぷらの衣がサクサクで、イカも柔らかくておいしかった。いつも行列ができていて以前から気になっていたが、店内は従業員が多くて活気がある。機会があればまた来たい」と話す。

初めて来店した女性の一人客も「揚げたての天ぷらと行き届いたサービス、清潔感のある店内はホテルのレストランみたい。しかも値段が手ごろなので、どうやって経営しているんだろうと思った」と感心しきり。

ただ、クリアすべき課題も多い。エビやイカなど海鮮系の食材価格が高騰し、利益を圧迫。値上げせずに食材の品質を維持するとなると、仕入れやメニューなどの工夫が必要だ。新メニューの開発も、常連客を飽きさせないためにも欠かせない。

天ぷらを揚げるタイミングまでコントロールできる人材の育成が課題。パート・アルバイト従業員を2~3カ月でプロの調理人に育てられるかどうかが今後の成長のカギ

最大の課題は、店舗オペレーションの構築。現状でも軌道に乗ってはいるが、数十店のチェーン展開をするには人材の育成が重要になってくる。標準店舗の場合、客席24~30席に対して正社員1人とパートナーと呼ぶパート・アルバイトを合わせて約25人を想定。丸亀製麺と同じく全店直営のため、パートナー主体のオペレーション確立が喫緊の課題だ。

「セントラルキッチンで加工したものを使うのではなく、店舗で10人ものスタッフが手間ひまかけて作るのが同店のウリ。ただ天ぷらの場合、衣の固さを均一にするなど料理のクオリティーのコントロールが難しい。難度の高い技術が求められるが、プロの立ち振る舞いができるように教育していく。立ち上がりは3カ月かかったが、2カ月で育てられる体制を作りたい」と、尾関氏は話す。

発祥地の福岡でも、揚げたて天ぷら専門店のチェーン化に成功した企業はいまだかつてない。原価とオペレーションの問題を克服し、天ぷら定食業態を全国に広めていけるか。挑戦は始まったばかりだ。

(ライター 橋長初代)

[日経トレンディネット 2014年6月25日付の記事を基に再構成]

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