2021/8/28

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インドネシアの定番スープ「ソトベタウィ」。いったいどんな味なのか?

インドネシア料理「ソト ベタウィ」はニンニクなしで仕事もOK

神田には鉄道各線の駅が集積している。都営新宿線の神田小川町駅、東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅、同丸ノ内線の淡路町駅、同銀座線の神田駅、そしてJRの神田駅。いずれの駅からも徒歩圏内にあるのが、20年2月にオープンした「ソト ベタウィ 宮本」だ。店名にもなっている看板メニューの「ソト ベタウィ」とは、ジャカルタ発祥のインドネシア料理「牛肉のココナッツ煮スープ」のこと。現地の屋台から高級店までで食される定番料理だという。

「ソト」はスープの意味、「ベタウィ」はジャカルタの土地名。いくつもの島々からなるインドネシアには地域ごとに異なる「ソト」が多く存在するが、「ソト+土地名」の名称で、その土地のスープであることを表しているのだという。ナシゴレンやミーゴレン、サテなら知っていたが、インドネシアにはまだまだ日本人が知らない料理があるようだ。

さっそく同店で人気ナンバーワンの「ソト ベタウィ スペシャル」(1200円)を注文してみた。牛肉のスパイスグリルとライスも付いてボリューム満点だが、この組み合わせが本場流なのだという。「ソト ベタウィ」単品だと850円で、スープとご飯がセットになった「ソト ベタウィ定食」は950円である。

まずスープを一口味わう。意外に辛くなく、じっくりと煮込んだ牛骨スープにココナツクリームや塩を加えたまろやかな味わいだ。ターメリックやコリアンダーなどのスパイスも数種類使っているようで、エスニックな風味も楽しめる。日本のシチューにも似た癒やしのメニューで、どこか懐かしい感じもする。

ソトベタウィは、酸味の効いたフレッシュトマト、牛肉、ジャガイモなど具だくさん

ソトベタウィは牛肉・牛モツ・ハチノス(牛の胃袋)を刻んだもののほかに、ジャガイモ・フレッシュのトマトなども入って具だくさん。上に “ウンピン”というせんべいのようなものがのせてあり、甘めのスープを吸わせて味わうと美味。フライドオニオンの香ばしさもたまらない。

スープだけでもおいしいが、ご飯を加えて味わったり、辛味の効いた牛肉のスパイスグリルと交互に味わったりすると、とてもいいバランスで最後まで食べ飽きない。ニンニクが効いていないので、オフィス街で口臭が気になるビジネスパーソンも安心だ。エスニック料理が苦手な人でも楽しめそうな食べやすさだ。

店長のドゥマイス美子さんは、「平日のお客様は9割が近隣のオフィス街で働く日本人ビジネスパーソンです。初めてのお客様は『どんな味なのか想像できない』と興味津々で来店されます。週末になると遠方からわざわざ家族連れでやってくるインドネシア人も多く、外国人が8割を占めます」と説明する。

同店はハラル認証店ではないが、イスラム教徒が食すハラル認証の食材を使っているので、“ムスリムフレンドリー”の店としても重宝されているようだ。最近は女性客のソロ飯利用も増えてきたという。

インドネシアの国旗、赤と白を基本カラーにした外観

もともと「ソト ベタウィ」を通して、インドネシアの食文化を日本に伝えたかったというオーナーの宮本敬太さんは、浅草などの観光地でなく、あえて日本人の多いオフィス街・神田を選んだ。「神保町と言えばカレーの街で知られていますが、その隣の神田かいわいも有名なカレー店が多く、スパイス好きも多いです。日本在住のインドネシア人、約6万人がターゲットなのはもちろんですが、『ソト ベタウィ』が日本人の日常食になるように浸透させたい。コロナ禍で店に来られないお客様向けに、冷凍品も考案中です」と宮本さんは意気込む。

「ビリヤニもボブンも、ソトベタウィも知らなかった!」という人も少なくないのではないだろうか。以前は現地に行かないと食べられなかったディープなエスニック料理が、ビリヤニとボブンなら東京都千代田区内神田で、ソトベタウィなら千代田区神田錦町で堪能できるようになった。今度、神田かいわいを訪問するときには、ぜひこれらエスニック店の新顔をチェックしてみよう。

(フードライター 古滝直実)