「主たる有効成分は、緑茶のカテキン類と考えています。茶カテキンは、緑茶に多く含まれます。同じ“チャノキ”の茶葉が原料で、発酵させた紅茶やウーロン茶と異なり、緑茶では茶葉を蒸すことによって発酵を止め、生茶葉の香りと鮮やかな緑を保持させています。この緑茶に特徴的に多く含まれるポリフェノールが、茶カテキン。強い抗酸化力を発揮します」(福島さん)

ポリフェノールは植物が紫外線や傷などを受けたときに生じる活性酸素から身を守るために作り出す物質。私たち人間の体内でも日々、呼吸やストレス、紫外線などによって活性酸素が生じるが、この活性酸素によるサビから身を守り病気のリスクを下げるのにポリフェノールが有効とされている。ポリフェノールはコーヒーや赤ワイン、ココア、緑茶にも豊富に含まれる(下グラフ)。「私たちの研究では、日本人のポリフェノール摂取源で最も多いのはコーヒー、次いで緑茶だということがわかっています」(福島さん)

主な飲料に含まれるポリフェノール量

飲用時100mLあたりのポリフェノール量。緑茶は抹茶を除いた緑茶類飲用時の平均的な値。抹茶は1.5gで70mLを調製した場合の値(タンニン量をポリフェノール量として換算、日本食品標準成分表2020年版[八訂])。(データ:Fukushima Y, et al. J Agric Food Chem. 2009;57:1253-9.)

お茶のカテキン、歯周病抑制や抗ウイルス作用も?

抗酸化力に加え、茶カテキンで注目されているのが「抗菌・抗ウイルス効果」だ。

「これは緑茶だからこそ発揮されるカテキン類の特徴的な働きです。茶カテキンにはたんぱく質と結合する力が強いという特徴があります。茶カテキンが豊富な緑茶を飲むと、渋い! と感じますね。この渋みは、口の中で茶カテキンがたんぱく質と結合するときに生まれていると考えられています」(福島さん)

この茶カテキンが、感染症の原因となる細菌やウイルスの表面にあるたんぱく質と結合することによって、細菌やウイルスの力を弱める可能性があるというのだ。

茶カテキンの抗菌力は、歯周病菌による感染症である歯周病を抑制する可能性が注目されている。歯周病は、歯と歯ぐきの隙間から進入した歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、歯を支える骨を溶かしてしまう病気。

49~59歳の日本人男性940人を対象に、緑茶の摂取量と歯科検診による歯周病症状の関係を調べた結果、緑茶を多く飲んでいる人ほど歯周ポケットが浅く、歯肉の喪失や検査時の出血量が少なかったという[注3]

抗菌に加えて、抗ウイルス効果も見いだされている。

「緑茶に含まれるカテキン類とうまみ成分であるテアニンを5カ月間摂取し続けると、インフルエンザウイルス感染率が少なくなるという報告もあります(下グラフ)」(福島さん)

ちなみに先ほどのグラフで見ると、緑茶100mLあたりに含まれる茶カテキンは115mg。この研究での茶カテキン量は1日3~4杯に相当する。

[注3]J Periodontol. 2009 Mar;80(3):372-7.

緑茶成分をとるとインフルエンザ感染リスクが抑えられた

日本の高齢者医療施設で働くヘルスケアワーカー197人を、茶カテキン378mgとテアニン210mgを毎日摂取する群とプラセボ群に分けた。茶カテキンとテアニン摂取群は、インフルエンザ感染率が有意に低下した。(データ:BMC Complement Altern Med. 2011 Feb 21;11:15.)

「茶カテキンの抗菌・消臭作用は衣類や部屋のにおい消し商品にも応用されています」と福島さん。飲むだけでなく、いろいろな用途に使われる緑茶。その効果をさらに見ていこう。

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緑茶1日5杯以上の摂取は認知症リスクを下げる可能性
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