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緑茶1日5杯以上の摂取は認知症リスクを下げる可能性

「もう一つ、認知機能に関しても緑茶の研究が始まり、コーヒーとの違いも含め面白い結果が出始めています。その効果はコーヒーよりも強いのでは、と見られています」と福島さん。

複数の研究を集めて解析した最新のメタアナリシスでは、1日あたりの緑茶を含む茶飲料の摂取量が増えるほど、認知機能低下リスクが下がることがわかった。この研究[注4]では、アルコールとコーヒーの摂取と認知機能低下についても解析されたが、「摂取量の増加とリスクの低下が関連したのは、お茶のみでした」(福島さん)

このメタアナリシスでも採用されている日本人1万3000人に調査をした研究では、緑茶を1日5杯以上飲むと答えた人は1杯未満の人に比べて認知症発症リスクが4分の1ほど少なく、ウーロン茶や紅茶、コーヒーでは有意な関連が見られませんでした[注5]。また、緑茶を1日5杯以上飲む人は要介護状態になるリスクが33%低下するというデータもあります[注6]

[注4]Epidemiol Psychiatr Sci. 2021 Feb 11;30:e13.

[注5]Am J Geriatr Psychiatry. 2016 Oct;24(10):881-9.

[注6]Am J Clin Nutr. 2012 Mar;95(3):732-9.

LDLコレステロールを抑制する効果はナッツやトマト並み

さらに緑茶といえば、高濃度カテキンのトクホでもおなじみの「コレステロール吸収の抑制」や生活習慣病抑制効果も気になるところ。

「茶カテキンには、脂肪の分解や消費に関わる酵素の活性を高めて、体脂肪をエネルギーとして利用しやすくする働きがあります」(福島さん)

生活習慣病を予防する効果は世界でも注目されている。

生活習慣病の背景にあるのが動脈硬化。年齢を重ねるとともに進行する動脈硬化の要因となるのが、血液中のLDLコレステロールの高い値。LDLコレステロール値を下げる食品として、緑茶はトマトや豆類、アーモンドやクルミ、フラックスシード(亜麻仁)、水溶性食物繊維(大麦、オーツ麦など)と同等の効果であるとされている(下図)。「緑茶のカテキン類はLDLコレステロールの酸化も抑制します」(福島さん)という。

緑茶はLDLコレステロールを下げる有力な食品の一つ

LDLコレステロールを低下させるのに役立つ食品について研究を集めて分析。円の大きさが大きいほど研究の数が多い。矢印が上方向(+)に行くほどその効果は低く、下方向(-)に行くほど効果が高いことを示す。緑茶の効果はマイルドではあるものの、トマトや豆類、アーモンドやクルミ、フラックスシード(亜麻仁)、水溶性食物繊維(大麦、オーツ麦など)と同等の効果であるとされた。 (データ:Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2021 May 6;31(5):1325-1338.をもとに編集部で改変)

このように幅広い効果を発揮する緑茶。飲み方にコツはあるのだろうか。

「毎日継続的に飲むことが、心血管疾患、認知症、歯周病やメタボの予防につながっていくと考えています。目安として1日3~5杯ほど飲むといいのではないでしょうか。茶カテキンは飲用後1~2時間すると血中でピークとなり、3~4時間後ぐらいから体外に排出されます。水分補給としてこまめに飲むことをお勧めします」と福島さん。

次回は抹茶の健康効果について聞いていく。抹茶は緑茶よりさらにプラスの栄養成分をとることができるので、そのあたりをデータを交えて解説してもらおう。

(ライター 柳本操、グラフ制作 増田真一)

[日経Gooday2021年8月18日付記事を再構成]

福島洋一さん
ネスレ日本ウエルネスコミュニケーション室 室長。東京農工大学農学部農芸化学科卒業、同大学大学院修了後、ネスレ日本入社。農学博士。ネスレ中央研究所(ローザンヌ)、ネスレリサーチ東京R&Dプロジェクトマネージャーを経て2010年より現職。主にコーヒーや抹茶の機能性研究に取り組む。人間総合科学大学非常勤講師。

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