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地方から都会へ去る女性 地元に戻るのは「4人に1人」

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NIKKEI STYLE

総務省が8月発表した人口動態調査(2021年1月1日時点)によると、東京、関西、名古屋の三大都市圏の総人口が前年比で減少しました。13年の調査開始以来初です。新型コロナウイルスの感染拡大で、テレワーク移住が拡大した影響とみられます。人口減に苦慮する地方にとっては朗報に思えますが、楽観はできないようです。

地方にとどまる男性が増える一方で、女性の都市志向には変化がないからです。男女比の不均衡は未婚化を進め、少子化が加速します。人口減対策のため、女性が魅力を感じるまちづくりに取り組む地方自治体も登場しています。

気がつくと、若い女性たちが、まちからすーっといなくなっていました――。兵庫県豊岡市が今年3月にまとめた「ジェンダーギャップ解消戦略」の書き出しです。どうすれば若い女性が豊岡市に住みたいと思ってもらえるか。企業や家庭、地域、学校などで今後10年で取り組む課題を挙げています。

人口減にあえぐ市は17年に若い女性の動向に着目しました。15年国勢調査を基に、10代で転出した人が20代でどのくらい戻ったかを調べると、男性は2人に1人だったのに対し、女性は4人に1人だけでした。「大学進学などで市外に出るのは仕方ない。でも卒業後に戻ってくる大半が男性では未婚率が上がる」(ジェンダーギャップ対策室)と危機感を訴えます。

富山県南砺市は3月にフォーラム「女性が戻りたい、働きたい南砺市になるために」を開きました。UIターンを促す事業はこれまでも実施してきましたが、若い女性に焦点を当てるのは初めてです。地域住民や地元企業の経営者らが話し合い、「男性は家事・育児をしない」「職場でも女性は補助的な仕事しかさせてもらえない」といった女性流出の要因が挙がりました。市担当者は「若い女性が魅力を感じるような職場・地域づくりを進める」と意気込みます。

地方には女性に魅力的な職場が少なく、都市部の企業を就職先に選ぶ傾向はコロナ前からありました。ニッセイ基礎研究所の人口動態シニアリサーチャー・天野馨南子さんは「コロナ下でも女性の志向に変化はない。男性が地元に就職した結果、むしろ男女格差は拡大している」と指摘します。例えば20年の東京都への転入超過は、男性9632人に対し女性はその2.2倍の2万1493人。前年の1.4倍から拡大しました。

多くの自治体は人口の増減に一喜一憂します。ただ若い女性の流出に歯止めをかけないと、未婚化が一気に進み、少子化は深刻になるばかりです。「女性が活躍できる職場をどうつくるか。地方の自治体・企業は真剣に考えないといけない」と天野さんは警鐘を鳴らします。

天野馨南子・ニッセイ基礎研究所人口動態シニアリサーチャー「地方自治体や企業は女性定着へもっと努力を」

コロナ禍は少子化を加速しました。人口減少にあえいでいた地方の市町村はさらに窮地に追い込まれています。人口移動の現状をどうとらえて、対策を打つべきなのか。「発想の転換が不可欠」と主張するニッセイ基礎研究所の人口動態シニアリサーチャー・天野馨南子氏に男女の人口不均衡がもたらす弊害と打つべき対策について聞きました。

――テレワーク移住が拡大し、都市部から地方への人の流れも見られます。国全体では相変わらず少子化が続きますが、都市への一極集中が是正され、地方部の人口減少速度も鈍化しています。好ましい状況ではないのですか?

「コロナ禍による出控えで人口の転出と転入がともに抑制され、差分としての転出超過がコロナ前から減ったことによる減少がメインです。地方から都市部に人が流れる構造的な問題は解決されておらず、一時的に移動が滞っているにすぎません。コロナが収束すれば、出控えの揺り戻しで転出超過がまた拡大するでしょう。地方の人口減少はアフターコロナも大きく変わらないと思います」

「テレワークが地方移動を促すとする見方もあります。でもテレワークを導入した企業の多くは都市部、特に関東に集中しています。東京の会社に勤める人が東京に住む必要性は薄れましたが、テレワークとはいえ極端な遠隔居住ではなく、自宅を神奈川や埼玉、千葉など首都圏に広げる程度の移動がメインです。コロナ禍の影響が大きい首都圏企業よりも地方企業ではテレワークの必要性が感じられておらず、むしろ都市部と地方の働きやすさの格差が広がりました。働きやすさ向上によって都市部の企業で働きたいと考える人がさらに増え、人口集中が加速する要因になり得ます」

――地方の少子化問題を解決するには若い女性の移動に着目すべきだと以前から主張なさっていましたね?

「自治体は人口減の状況を統計的に読み誤っていると思います。人口の変動には出生数と死亡者を差し引きした自然増減と、転出者と転入者の差から生じる社会増減があります。自治体は転出超過を減らして転入超過にしようと知恵を絞ります。多くの自治体は社会増減の総数に目を向けますが、その男女別の増減実態が実はとても大切です。コロナ禍の有無に関係なく、社会増減は人口の入れ替えの最終結果として20代人口、もっというと20代前半の未婚男女の入れ替えとなっています。この年齢層の転入・転出により、男女構成比がアンバランスになれば当然ながら未婚率が高まり、出生数が減ります。現状、人口減に苦しむ地方の自治体では若い男性よりも若い女性の社会減が顕著です。そこに目を向けず、闇雲に総数だけで転入者を増やそうとしても少子化は解決しません。自治体はこの点に気付くべきです」

――若い女性はどこに流れているのですか?

「総務省の『住民基本台帳』年報基本集計で2020年の都道府県別の動向をみてみます。近い未来の母親候補となる20代前半女性で、都道府県境を越えて移動した入れ替え人口(転入者と転出差の差)は4万7628人に上ります。そのうち2万7418人が東京に集中しています。全体の58%です。次いで転入超過が多いのは神奈川県7241人、大阪府6328人と続きます。転入超過はほかに埼玉、千葉、愛知、福岡を加えて7都府県にすぎません。残る40道府県は転出超過となり、未来の母親候補人口、ならびにその赤ちゃんを失っているのです」

「これら都市部への男性を超える女性の転入超過は15年以降、特に顕著です。これは女性活躍推進法の施行が関係しているとみます。法の対象となる大企業の多い都市部の企業では職場環境改善努力が進み、女性が活躍しやすい環境のPRが強まる一方で、法では努力義務対象にとどまる小規模企業が圧倒的な地方の企業では職場改善やPRが進みませんでした。男性なら地元に残っても相応の仕事に就けるでしょうが、女性は魅力ある仕事になかなか就けません。高学歴化が進み、特に地方では四大卒女性の割合が男性を超える状況です。せっかく高い教育を受けたなら、その知識や経験を最大限生かしたいと思うのも当然のこと。地方では理想のライフプランを実現できず、東京など都市部に若い女性が出て行きます」

――地方では第1次・第2次産業の比率も高く、女性の活躍の場が限られるのは仕方ないのではないでしょうか?

「そういった言い訳もよく聞きます。でも地方にも当然ながら公務員や金融機関や製造業でも事務職・営業職など能力を生かせる職種は一定数あります。ですが、そうした仕事に就いているのも現状男性が主流です。これは男性の仕事、だから女性の仕事はこれだという順位での思い込みが強く、働き方はいまだ若年人口の多かった高度成長期の青年男性主力の働き方が踏襲されており、現在のように人手不足にもかかわらず『働き方が合わない』ことを理由に女性に門戸を開放する努力が欠けています。『女性が働く職場がない』『女性の仕事の選び方が悪い』と嘆く前にできることはあります」

「昨今の若い男性は共働き志向を女性以上に持っています。自分一人が働き、家族を養う厳しさを知っているからです。女性が働き、夫婦が互いに経済的にしっかり支えあえる環境にない地方は若い男性にとっても魅力のない町です。バブル崩壊以降の人口移動を追うと、女性の社会減が増加した後に男性の社会減が追随するのが定石です。若い男性の就業施策をメインに考えていたはずが若い男性も地方を捨て、都市に出て行ってしまうでしょう。そんな状況に追い込まれていることを自治体も企業も気付き、危機感を持つべきです」

(編集委員 石塚由紀夫)

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