ユーグレナは単体で従業員が約200人しかいません。サステナビリティ・ファーストを打ち出し、売り上げが少し落ち込んだとしても、10万人を雇用する石炭関連企業と違い、従業員の大リストラに追い込まれることもありません。失敗を恐れず、次の挑戦をするのみです。

サステナビリティ・ファーストの地平を開拓するのは、私たちのようなベンチャーです。SDGsやソーシャルビジネスの実践を積み重ね、「200人規模ならサステナビリティ・ファーストでビジネスが成立し得る」という成功例を作り、そこから「1000人規模なら可能」というレベルに上げていく。1000人規模で成り立つビジネスが10個あれば1万人の雇用を確保できます。そうやって大手企業もまねしたくなる、あるいは投資したくなるソーシャルビジネスを生み出していくのがベンチャーの役割だと思います。

生産年齢人口の過半数が「ミレニアル世代」に

今、社会に求められているのは儲けを最優先するこれまでの金融資本主義的価値観から、サステナビリティを重視する価値観への転換です。そんなに簡単じゃないでしょと思うかもしれませんが、私は25年を境にその価値観の大転換が起きると信じています。

理由は15~64歳の生産年齢人口の過半数を「ミレニアル世代」が占めるようになるからです。ミレニアル世代とは2000年以降に成人した世代。1980年生まれの私もその一人です。90年以降に生まれた人たちは「Z世代」とも称されますが、ここではまとめてミレニアル世代と呼ぶことにします。ミレニアル世代は今の資本主義に限界を感じ、心の底からサステナブルを欲しているという特徴があります。各国のリーダーに二酸化炭素(CO2)削減の思い切った行動を取るように迫るスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが世界中のミレニアル世代から熱狂的に支持されていることは皆さんも知っているでしょう。

「ソーシャルビジネスを生み出していくのがベンチャーの役割」と語る

2016年と20年の米大統領選でも民主党の左派で格差是正を主張するバーニー・サンダース氏が若者の熱い支持を受け、最終候補の一歩手前まで残りました。世界中のミレニアル世代は「自分たちより前の世代は資本主義で豊かになることができた。でもそれを続けていると地球はもたないし、格差・貧困問題は解決できない」という危機感を共有しているのです。彼らにとって、資本主義がもたらしたさまざまな課題を解決し、持続可能な未来をつくっていくことは自分たちの人生そのものなのです。

彼らは選挙はもちろん、消費者として商品やサービスを選んだり、ビジネスの現場で意思決定したりする際も、サステナブルであることを最も重視します。一番の強みはベンチャー同様に大した資産を持っていないことです。何千億円もの石炭・石油の権益を持っている25歳なんていませんから、現実とのはざまで迷うこともありません。モノの所有に興味がないので、お金にガツガツすることもありません。そして、この世代はデジタルネーティブ。テクノロジーに明るく、自分たちが次の世代の技術革新を担い、明るい未来をつくるのだという自負があります。さらに小さい頃からスマートフォンやソーシャルメディアを使いこなしてきたソーシャルネーティブですから、発信力があります。こういう人たちが社会のメインプレーヤーになるインパクトは非常に大きい。

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勇気ある200人のために挑戦