就活のカギを握る企業研究 調べるときのポイントは?ふつうの大学生のための就活ガイド 第8話

2021/8/25
日本大学経済学部・安藤至大教授が、これから就職活動を始める「ふつうの大学生」の相談に乗る、ストーリー形式の連載「ふつうの大学生のための就活ガイド」。第8回のテーマは、企業選びです。(学生も会話もフィクションです)

今回から登場する主人公・松本美咲(まつもと・みさき)は、N大学経済学部の3年生です。秋になり、いよいよ就職活動も本番ムード。就活は3年生になってから熱心に取り組んでおり、気になる企業もありますが、自分が希望している働き方について考えが定まっておらず、苦戦中のようです。そこで今日は、労働経済論を担当している安藤先生に相談に行くことにしました。

企業を選ぶときの不安

(コンコンコン! 安藤研究室の扉をノックする音)

安藤先生 はい、どうぞ。

美咲 こんにちは。3年の松本美咲です。いま大丈夫でしょうか?就職活動について、アドバイスを頂きたいと思って来ました。

安藤先生 はい、いまはオフィスアワーの時間なので大丈夫です。どうしましたか?

美咲 秋になって、周りも段々と就職活動モードになってきました。でも、私自身まだまだ不安なことや疑問が多くて、なかなか就職活動に集中できないんです……。

安藤先生 なるほど。まずは松本さんの現状を教えてください。

美咲 はい。私は、いま3年生です。夏休みを利用して、2つのインターンシップを経験しました。

1つ目は、大学の単位にもなるインターンシップで、A人材会社で2週間のインターンシップに参加しました。小さな会社でしたが、いろいろな仕事を経験することができました。2つ目は、大手人材会社Bのグループ会社で、求人情報サイトを運営しているC社のインターンシップ、こちらは3日間です。

私は人材業界に関心があって、大手のB社が第1志望です。

安藤先生 インターンシップも体験していますし、志望業界もすでに定めているようですね。現時点では非常に順調に就職活動を進めている印象を受けますが、具体的にはどのようなことを知りたいのでしょうか?

美咲 テストセンター対策や面接対策など色々聞きたいことはあるのですが、まずは企業の選び方や企業研究についてです。確かに志望業界はありますが、もし興味を持った会社が全部落ちてしまったら困るので、あまり興味がない会社でもたくさん受けておかないといけないのかなと思ってるんです。

興味があんまりなくても受けるからには企業研究は必要ですよね。でも受ける会社全部の企業研究をする時間はないんじゃないか、そもそも選んだ会社がブラックだったらどうしようとか……、ちょっと混乱してきてしまったのが今の状況なんです。

安藤先生 なるほど。まず不安や疑問点を整理しましょうか。いま知りたいことをメモにして書き出してもらえますか?

美咲 はい!

(少し考えてから、美咲はノートに知りたいことを書き始めました)

できました! こちらです。

美咲がノートに書いた疑問点

安藤先生 それでは一つずつ説明してもらえますか?

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企業研究はなぜ必要なのか?