その点、「ネットであれば、気軽に相談できる。しかも各プランナーの評判など信頼性や専門性も分かる。プランナーの中には2人の子供を私立校に通わせているなどの情報を書き込んでいる人もいるが、同じような課題を抱えているユーザーは相談しやすくなる。プランナーの信頼性向上のための工夫を凝らしている」と加々美さんは話す。

相談内容は「投資のやり方を教えて」「株はもうかるの?」という20代の初歩的な質問から「まもなく定年だが、現在の家計の状況で、老後資金は大丈夫だろうか?」など深刻なものまで様々だ。

松本深志高出身、上智大時代に上野ゼミに参加

加々美さんは学生時代から社会課題の解決に真剣に向き合ってきた。長野県安曇野市出身で、公立の名門校、松本深志高校(長野県松本市)で学んだ。同校には2本のロープを使ってスピードや技を競う縄跳び競技「ダブルダッチ」というユニークなクラブがあった。成績上位層は東京大学や京都大学などを目指す地元屈指の進学校だが、加々美さんはダブルダッチに夢中になり、勉強にはいまひとつ力が入らなかった。「医者や弁護士などを目標に頑張る真面目な生徒が多かったが、自分は将来のキャリアイメージを描けていなかった。まあ、東京に行って大手企業のサラリーマンにでもなるかな」というぐらいだった。

高校時代は将来のキャリアイメージを描けていなかったという

意識が変わるのは上京し、上智大学法学部に進学してからだ。11年には東日本大震災が起こった。社会不安が高まった頃、「絶望の国の幸福な若者たち」という古市憲寿さんの著書に触れた。法律には興味が湧かなかったが、社会学に強くひかれ、上野千鶴子さんの自主ゼミに参加した。加々美さんの大学とは無関係の集まりだ。ゼミには起業家やジャーナリストなど様々な職歴の個性的な面々が集まっていた。

「まず一次情報を取り、論理的に体系化しないと駄目よ」。女性学の権威として知られる上野さんの発言は常に明快だった。適当に資料を集めてまとめるのではなく、現場の声を直接聞いて情報収集し、社会課題の解決に向き合うことが肝要だと教えられた。上野さんにかわいがられ、古市さんとのイベントも仕掛けた。多くの若手経営者とも交流し、社会課題を解決する起業家になる夢が膨らんだ。

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