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老いのスピード大きな個人差 同じ年齢でもその差は…

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日経Gooday(グッデイ)

世の中には、同じ年齢なのに若く見える人と老けて見える人がいますが、実際に、生物学的な老化のスピードには大きな個人差があり、この違いが体のさまざまな機能の老化にも関係していることが、ニュージーランドの住民を対象に行われた研究で示されました。45歳時点で生物学的な老化が進んでいる人は、認知機能や身体機能の老化も進んでおり、見た目も老けて見えることが分かりました。

同年齢の住民を20年間追跡し、生物学的老化のスピードを比較

一般に、年齢が上がるにつれて、心臓病、糖尿病、がんといった慢性疾患のリスクが上昇し、筋力、聴力、記憶力などの能力は低下していきます。高齢者に対する年金制度や福祉政策は、原則として実年齢に基づいて対象者を限定していますが、実際には、元気で自立した生活を送れている90代もいれば、60歳になっていないのにいくつもの病気や認知機能の低下に苦しんでいる人もいます。著者らは、実年齢だけを指標にする支援システムは完全とは言えないのではないかと考えました。

また、高齢になるほど発症リスクが高まる慢性疾患は、生物学的な老化を遅らせることによってまとめて予防できる可能性があります。予防効果を最大にするためには、そうした努力を中年期には開始する必要があると考えられています。

しかし、そうした努力が必要な、老化のスピードが速い人をどうやって見つけ出せばいいのでしょうか?

そこで著者らは、実年齢が同じ人々の生物学的な老化のスピードを比較することにしました。

同年齢の1000人余りの老化の進行を、45歳まで追跡

分析対象となったのは、ニュージーランドのダニーデン市に住む、1972~73年生まれの1037人です。これらの人たちの、26歳から45歳までの20年間の老化の進行を追跡しました。

具体的には、心血管系、代謝系、免疫系、腎臓、歯、肺の機能を反映する19のバイオマーカー(下囲み参照)の状態を26歳、32歳、38歳、45歳の時点で評価し、参加者1人1人について、個々のマーカーの年間変化率を合わせて老化速度としました。参加者全体の平均を参照値とし、ここに該当する人は、実年齢が1歳上昇するごとに生物学的年齢も1歳上昇する、としました。

生物学的老化の指標となる19のバイオマーカー

BMI(体格指数)、ウエスト/ヒップ比、HbA1c、血清レプチン値、血圧、心血管フィットネス(最大酸素摂取量)、肺機能(1秒量、FEV1/FVC〔1秒量/努力肺活量〕)、血中脂質量(総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール)、リポ蛋白(a)、アポリポ蛋白B100/アポリポ蛋白A1比、推算糸球体ろ過量(eGFR)、血中尿素窒素、高感度CRP(C反応性たんぱく)、白血球数、歯周組織の減少、う歯(虫歯)

個々の参加者の20年間の老化のペースはさまざまで、最も遅い人では実年齢が1歳上昇するごとに生物学的には0.4歳しか年を取っておらず、最も早い人では同じ期間に2.44歳も老化していました。

 著者らは続いて、老化のペースが速い人について、45歳時点で「認知症と関連づけられる老化のサインが脳に見られるか」「認知機能の低下が進んでいるか」「感覚・運動機能に低下が見られるか」「外見が老けて見えるか」「老化についてどう考えているか」「周囲の人からどう見られているか」について検討しました。

老化のペースが速い人では、45歳時点で既に、頭部MRI画像に、大脳皮質が薄い、海馬の体積が小さいなどの変化(認知機能の低下と神経変性疾患のリスクが高い高齢者に認められるような変化)が生じていました。

老化のペースが速い人は、認知機能検査のスコアも悪く、45歳時点でもさまざまな種類の認知機能に低下が見られました。また、老化速度が遅い人に比べ、早い人では、45歳時点のIQが有意に低くなっていました。日常生活においても、記憶力が低下しており、注意に欠けることが多く、たとえば財布や鍵、眼鏡などを置き忘れる、用事をし忘れる、といったことを経験する頻度が高いことも分かりました。

フレイル(転倒リスク、介助が必要になるリスク、死亡のリスクが高い虚弱状態)の高齢者を同定するために用いられる感覚・運動機能(歩行速度、握力、視覚コントラスト感度、聴力)の評価の結果も、老化のペースが早かった人では、軒並み低くなっていました。

生物学的老化のペースが速い人は、外見も老けて見える

45歳時点で老化のペースが速かった集団では、「年を取り、ものごとが悪化している」「若いころに比べて幸せではない」「あまり健康ではない」「実年齢より老けている」「顔が同年齢の人に比べて老けている」「75歳を過ぎて生きているとは思えない」と考える人が多く、友人や周囲の人から健康状態が悪いように見られる、外見が実年齢より老けていると見られる人が多くなっていました。これまでに行われた高齢者を対象とする複数の研究でも、「自分が老人である」と感じている人はその後、比較的若いうちに加齢関連の疾患と診断されて死亡することが多いと報告されています。

得られた結果は、人間の生物学的年齢には45歳の時点で統計学的に有意な差が生じており、老化のペースが速い人には、加齢に関係する機能の低下が生じていることを示しました。著者らは、「中年期に対策を取れば加齢に関連した慢性疾患のリスクを低減できるかどうかを、無作為化試験を行って調べる必要がある」との考えを示しています。もしかしたらもっと前から、前向きな考えを持ち、健康的な生活を心がけ、健康診断を受けて、慢性疾患の危険因子を修正していく必要があるのかもしれません。

著者らはまた、「老化のペースが速い人には、実年齢ではなく、生物学的な年齢に基づく支援を行う社会の構築が必要ではないか」との提言も行っています。

論文は、2021年3月15日付のNature Aging誌電子版に掲載されています[注1]

[注1]Elliott ML, et al. Nature Aging. 2021; 1:295-308.

[日経Gooday2021年8月3日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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