赤楚衛二 『彼女はキレイだった』樋口役は全部新しい
赤楚衛二インタビュー(上)
主演連続ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称『チェリまほ』)以降、赤楚衛二への注目度が日に日に増している。『チェリまほ』の放送が始まった、昨年10月時点でのインスタグラムフォロワー数は約20万人。最終回を迎えた12月には倍の40万人に達し、現在は50万人を超えるまでに。今年に入ってから、『チェリまほ』はドラマ界で改めて高く評価され、ギャラクシー賞の「マイベストTV賞」グランプリなど、数多くの賞を受賞。そのたびに、SNSが盛り上がった。
今年は、『コールドケース3~真実の扉~』『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』『監察医 朝顔』へのゲスト出演や、単発ドラマ『ハクタカ 白鷹雨音の捜査ファイル』に出演し、短期間に様々な役を経験。そして7月6日スタートの『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)では半年ぶりに、連ドラにレギュラー出演している。[日経エンタテインメント! 2021年8月号の記事を再構成]
気弱で太っていた少年・宗介(中島健人)はルックスも完璧なエリートに、美少女で人気者だった少女・愛(小芝風花)は無職の残念女子に。初恋の相手同士だった2人が、真逆の成長を遂げて再会するところから物語が展開するラブストーリー。求職中の愛が、偶然3カ月間ファッション誌「ザ・モスト」のアシスタントとして雇われることになり、同時に、アメリカの本社からミッションを背負い、宗介が副編集長として赴任してくる。
赤楚が演じる編集部員の樋口拓也は、ムードメーカーで明るく、誰からも慕われるキャラクター。合理主義で孤立しがちな宗介ともうまく付き合い、愛の良き相談相手になると共に、彼女に興味を持つようになる。主演2人との共演は、中島健人とは初めて、小芝風花とは3回目(18年のドラマバラエティ『~両親ラブストーリー~オヤコイ』、20年の連ドラ『美食探偵 明智五郎』)だ。
「まだクランクインして数日ですが、いい雰囲気で撮影ができています。樋口はちょっと変わり者というか、見る観点が独特なところがあって、日常であっても面白みを探しながら生きてるような人。周りの人たちそれぞれに目線を合わせて、寄り添ってあげられるような優しいヤツで。宗介の恋のライバルですが、バチバチする感じではないんです。
いかにジャクソン(樋口が愛に付けたあだ名)を愛せるかが大事かなと。もう1つ、この『ザ・モスト』編集部というチーム自体を心から好きになることが、樋口という役ではキーになっていくので、撮影時に感じたことはもちろん、撮影以外のところでもその気持ちを蓄積していきたいと思っています」
健人君は言葉選びのセンスが抜群
「健人君とは今のところ、同じ空間にはいるんですが、芝居ではまだしゃべれていないんです。明日もまだないかな……。ガッツリ絡めるのは少し先になりそうですが、先日はバラエティの収録がありまして。そこでまず、Adoさんが好きっていう話で盛り上がって。健人君とは同い年で、誕生日も近いんですよ。正式には12日違いなんですけど。
人としてもすごく気持ちのいい方で、共通点もあるし、これから関係性を深めていければいいなと思ってます。エンタテイナーだとは思いましたね。バラエティでの言葉選びが抜群で。僕なんかは、振られても一言、二言しか返せないなか、あんなに鋭く面白いことが言えるのは本当にすごいし、圧倒されました。
小芝さんとはもう"3度目まして"なので、安心感があります。笑顔が絶えない人で、人間性も素敵。お芝居も真っすぐ、かつチャーミングなので、役としてジャクソンを好きになるのは、全然難しくないなって感じてます。編集部にいるときの一緒のシーンは明日からなので、『いいチームだ』と思えるように、演じていきたいです。
樋口は、会っていきなり愛に『ジャクソン』というあだ名を付けたりしますが、これ以上はダメだっていうところまでは踏み込まないんですよ。距離感の取り方が絶妙でうまいなっていうのは、台本を読みながら感じていて。
でも、全員と近い距離にいないといけない役どころなので、現場に入るときは僕自身も、なるべくテンションを上げてます。『コイツなんか近いけど、陽気だし、まぁいっか』って許されるところを目指そうかなと思ってます」
現場の雰囲気は、役とリンクするほう?
「それはめちゃくちゃあります。例えば、今ここでいきなり『樋口やれ』って言われてもできないです。僕はそこらへんは不器用で、やっぱりエンジンをかけていないと。ただ、そのエンジンも『現場だからかけなきゃ』ということではなくて。『この人たちといると楽しくなってくる」と感じながら撮影してますし、自然と樋口としていさせてくれる空間になってますね。
樋口という役は、僕にとって全部新しいんですよ。自分から猛烈アタックするような役もなかったですし、先輩という立場もほぼ初めて。実年齢より上の30歳という設定は、『チェリまほ』の安達と一緒ですが、あのときは「怖くて経験できないあどけなさ』も必要だったから、30歳には見えなかったですよね(笑)」
「実際に小芝さんより僕のほうが年上ですし、大人っぽくいきたいです。長男として生まれてるので、その要素で年長者っぽくいけるか(笑)。立ち位置としては、1番陽気ではあるけれど、大人ではないといけないので、監督とは、現場で探っていこうと話しました。ありがたいことに大人の役が増えてきたので、役を経て、顔もきっと変わっていくんだと思います。
明日はジャクソンとのシーンを撮りますが、距離をグイッと縮めるのは僕側からのアプローチではあるので、そこにいやらしさがないように、『ちょっと面倒だけどいいヤツ』ぐらいの感じでできたら。このあんばいをミスると、『しつこーい』とか(笑)、見てて嫌がられると思うので。ウザさと愛らしさのバランスは、やってみながら監督と調整していきたいです。
『チェリまほ』のときは、黒沢役の町田(啓太)君との思い出作りというのが大事で、1つひとつの積み重ねだと思っていました。今回も、気付いたらもう好きでっていうようなイメージ。流れでだんだん気持ちが大きくなっていくところは、前回学んだことを生かせられるんじゃないかと思ってます。樋口としてはたぶん、切ない展開にはなりそうですけど、主人公の2人に幸せになってほしいという思いが1番なので、そのあたりの表現も探っていきたいです」
主人公の宗介(中島健人)と愛(小芝風花)、愛を好きになる編集部員の樋口(赤楚衛二)、宗介に心引かれる愛の親友の梨沙(佐久間由衣)の四角関係を描く。放送中/火曜21時/カンテレ・フジテレビ系
※インタビュー後編「見ている方向が一緒だと、深く携われる」に続く。
(ライター 内藤悦子)
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