年収を増やすことが目的なら日本に固執しない方がいい

年収水準だけの比較で言えば、グローバル企業における年収の高騰はしばらく続くでしょう。だからもし年収を増やすことがキャリアの目的であれば、国内限定のビジネスを進める企業から、世界で活躍する企業に転職する必要があります。

報酬水準を決定する要因は、まず、従業員1人あたり利益額×成長率、の関数として定義できます。

たとえば1人あたり利益額が500万円の企業、1000万円の企業、2000万円の企業、それぞれで払える年収の平均は、利益額と相関します。仮に人件費への配分が60%とすれば、300万円、600万円、1200万円となるでしょう。

さらに、そのビジネスとしての成長率が高ければ、平均額はさらに高まります。

この成長率は自社だけではなかなか読み取れないのですが、労働市場における期待として示されるようになります。

仮に600万円が妥当な報酬額だとしても、市場の成長性が高いと考えている他の企業があれば、その人に対して700万円の報酬額を提示するかもしれません。これが労働市場において取引額が上がっていく原理です。

もしあなたがわかりやすい年収増加をキャリアアップだと考えるのであれば、ぜひグローバル展開している企業を目指してください。そこには日系や外資系という区分はありません。国内に限定しないビジネスで売り上げの大半を占めている企業、という区分で考えてみてください。

ただ、日本国内企業を支援している人事コンサルタントとしての立場から言えば、日本企業の利益額を高め、成長率を高めていく方向性もあると思うのです。そのための戦略を策定し実行していくことも、キャリアの方向性だと感じています。そうして生み出された利益を給与の形で個々人に還元していく。そんな人事制度が整備されてゆけば、今いる企業で活躍し続けることも、決して悪い選択肢ではないと考えるのです。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。
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