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2021/8/23
フランス産クリームチーズを使った「水のレアチーズ」

つるんとなめらかなビジュアルの「水のレアチーズ」。名前だけみると、まるで奇をてらったかのようだが、訳を聞けば納得だ。

「定番のレシピだと、例外なく生クリームやレモン汁が入りますが、クリームチーズ自体が十分おいしいから、他の味を加える必要はないんじゃないかと思いました。おいしいチーズケーキを作ろうではなくて、『クリームチーズ本来のおいしさを、お菓子として楽しんでもらうには、どうしたらいいだろう?』という発想から、水を使うことにしたんです」(内山さん)

酸味と濃厚さのバランスがいいフランス産クリームチーズと水を混ぜ合わせ、最低限のゼラチンと砂糖をプラス。濃密でキメの細かいムース状に仕上げている。

「水」と聞くと、淡い味わいをイメージするかもしれないが、むしろ水を使うことで、チーズのミルキーなコクや香り、キリッとした酸味がダイレクトに感じられる。

口いっぱいに濃厚な味わいが広がったあと、スッと体の中になじんでいくさまは、水のように自然だ。

「さつまいものタルト」。取材時のサツマイモは茨城県産「紅天使」

同店では、旬の食材を使ったタルトも人気。取材時は「さつまいものタルト」。

使用しているサツマイモは、完熟の茨城県産「紅天使(べにてんし)」。その時一番おいしいサツマイモを使うため、時季によって種類は異なるそう。

外側をおおっているのは、香ばしく焼いたサツマイモを皮ごと練り込んだペースト。フォークを入れると、2層目にはサツマイモの身と生クリームのペースト、中心にはフレッシュな生クリームがぎっしり。なんとも密度のある3層構造だ。

数カ月間熟成させたサツマイモは、濃厚な甘さがあり、まるでイモようかんのよう。その甘さに負けないよう、タルト生地は焦げる手前ギリギリまで火入れし、香ばしさを引き出している。サクサクの香ばしい生地と、ねっとりとしたサツマイモペーストのバランスが絶妙だ。

サツマイモなどの自然な食材は、同じ品種であっても状態やその日の気候によって甘さや味の濃さが異なる。そのため、同店では使う個体によってバターの配合や小麦粉の種類や、中にはさむ生クリームのバランスを考えて濃度を変えているのだとか。

毎日、素材と向き合いながら、お菓子を作る。レストランのパティシエ出身ならではの手法だ。

シンプルなのにこれまでに味わったことのないようなおいしさ。けれど、この店のお菓子には、魔法が使われているわけではない。

余分なものをそぎ落とし、素材本来のおいしさを際立たせ、「お菓子」として魅力ある存在にする。どこにもないお菓子にするため、足すのではなく、引く。それが「おかしやうっちー」のお菓子だ。

「一人でやれる範囲で、自分が楽しく作りたいものを作る。それを長くやっていきたいですね」とにこやかに語る内山さん。

妥協はせず、自ら納得できるものしか作らない。だからこそ、どのお菓子も全部「お薦め」だ。素朴な見た目からは想像できないほどの豊かな味わいは、毎日食べたくなってしまうこと請け合いだ。

<メニュー>

みるく ショートケーキ(イートインのみ)1223円~ / みるく ショートケーキ 3号(直径9センチ)2700円 / シュークリーム(神果卵) 520円

おかしやうっちー
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-27-9-1F
電話:03-6721-0277
営業時間 12:00~18:00(無くなり次第終了)
定休日 不定休(Instagramでお知らせ)
公式HP https://www.okashiya-ucchi.com/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合があるので、店舗にご確認ください。
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大人のレストランガイド