夏仕様のカップ酒も人気。左から、三重・森喜(もりき)酒造場「るみ子の酒 特別純米 伊勢錦 夏カップ」(380円)、山口・永山本家酒造場「貴 特別純米 生もと雄町 夏カップ」(380円)、奈良・大倉本家「大倉 純米 夏うららカップ」(320円)。いずれも180ミリリットルで、味ノマチダヤのPB

家飲み・ソロ飲みが一段と楽しくなるカップ夏酒も続々

「近年はフレッシュな味わいにするために、冬場の仕込みの最後の方、2、3月ぐらいに夏酒を仕込んで、しぼりたてのような感覚で造っている酒造が増えてきた。経験値があがって、それぞれの蔵がイメージする夏酒を造るための工夫をされてきた結果で、どんどんおいしい夏酒が飲めるようになってきています」と印丸さんはほほを緩める。

同店の夏酒は、ラベルは同じでも、毎年中身が変わってもいいよという企画。「中身が変われば、今年はこういう形でチャレンジしていますから飲んでくださいと、売る側が説明すればいいだけ。いい意味の“裏切り”がある。夏酒の楽しさは、そうしたバリエーションが組めることなんです」。毎年、味ノマチダヤでは、6月から残暑の時期までが夏酒のシーズン。コロナ禍で季節限定の夏酒を造らない蔵もあり今年は少し減ったが、それでも30、40蔵ほどが夏酒企画に参加している。

味ノマチダヤには、夏酒のカップ酒もずらりと並ぶ。そもそも同店は、120種類以上の地酒カップを扱う。カップ酒を出したいと飲食店から相談を受けたのをきっかけに、普通酒ではなく特定名称酒を詰め地酒の魅力を伝えるカップ酒を企画。これを大ヒットさせたからだ。夏酒にも早々にカップ酒が登場、今年は同店のPBだけでも13種類が並んだ。

飲み切りサイズなので、まずは色々試してみたいという人にはうってつけだ。ラベルも趣向に富み、目にも楽しい。カップ酒に用いられている酒と一升瓶の酒とは異なるという酒蔵もあり、飲み比べもできる。ラベルのデザインは一緒でも、年により中身を変えている蔵もあるといい、これを楽しみにするファンもいそうだ。

左:奈良・千代酒造「篠峯(しのみね) 夏凛(なつりん) 純米吟醸」(352円)、右:茨城・来福酒造「来福 たい風(たいふう) 第二十三号 純米吟醸 火入れ」(306円)。いずれも180ミリリットルで味ノマチダヤPB(*「たい」は風へんに台)

アイデアが尽きない印丸さんは、キャンプ場専用のカップ酒も手掛けていて、現在関東を中心に10数カ所のキャンプ場に企画した酒を置いている。おかんに向く酒と冷やがお勧めという酒の2種類で、「お取引がある蔵元に協力していただき、約300本で中身のお酒を替えています」と言う。次にキャンプ場を訪れたときには中身が変わっていて、「あ、この前と違う」という楽しみがあるというわけだ。

カップに描かれた星の部分は透明で、たき火の前に置けばきらめく仕掛けになっている。ソロキャンプでも、ぐっと気分が盛り上がりそうだ。容器には目盛りが付いていて計量カップになり、「キャンプ場にゴミとして捨てずに持って帰り、再利用してもらえれば」と細部まで気を配る。

キャンプ場限定のカップ酒。たき火の前に置けば星がきらめくデザイン

新型コロナウイルスの影響から、多くの地域では飲食店で飲む機会がなくなってしまった今夏。逆に今こそ、普段は簡単にすませている家飲み、ソロ飲みを充実。じっくり「これだ!」という日本酒を発見したい。

(ライター メレンダ千春)

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