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オウムにも文化? ゴミ箱を開ける「技術」広がる

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ナショナルジオグラフィック日本版

オウムは多才だ。人間の言葉をまねるだけではない。音楽に合わせて体を動かせるし、進んで仲間を助けることもできる。そして最新の研究で明らかになったのは、新たな行動を互いから学べることだ。ほんの数十年前まで、この能力を持つのは人間だけと考えられていた。

キバタンという、オーストラリア東部の都市部でよく見られるオウムがいる。群れで暮らす騒々しい鳥だ。シドニーで、その何羽かがゴミ箱を開ける方法を見つけ出した。するとまもなく、ほかのキバタンもこの行動をまねて、新たな食料源を手に入れた。

この発見は、オウムが「文化を持つ動物たちの仲間入りを果たした」ことを意味していると、今回の研究のリーダーで行動生態学者のバーバラ・クランプ氏は言う。研究成果は2021年7月23日付の学術誌「サイエンス」に発表された。

食料を得るための「文化」を持つとされる動物はほかにも知られている。カラスや類人猿、クジラ・イルカ類といった長生きで大きな脳を持つ動物たちだ。たとえば、チンパンジーは新しい木の実のむき方を互いに見せ合う。「すべての条件がオウムにも当てはまると期待されますが、これまでは証拠がありませんでした」とクランプ氏は語る。氏はドイツのマックス・プランク動物行動研究所の職員で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(協会が支援する研究者)でもある。

十分な証拠が得られなかった理由のひとつに、人間の3歳児並みの知能を持つといわれたヨウムの「アレックス」のように、飼育下のオウムについてはよく研究されている一方で、野生のオウムの文化的行動を観察するのは難しいことが挙げられる。たとえば、自然の中で、鳥の行動に影響を与えうる要素を説明することは困難だ。

しかし、シドニーのキバタンは、確実にいつも同じゴミ箱を訪れる。クランプ氏がこの「都会の探検家」を観察するのにうってつけだった。

最も人間的な鳥

キバタンは、白い体に黄色い冠羽を持つ体長60センチほどの美しいオウムで、オーストラリア東部と周囲の太平洋諸島に生息する。オウム目(インコやオウムの仲間)はおよそ350種が知られているが、キバタンに特徴的なのは、よく繁栄していること、とりわけ都市部で増えていることだ。ただし、堅いものをかじる習性があり、バルコニーを壊したりして害鳥扱いされることも少なくない。

社会的学習の発見は必ずしも驚くことではないと語るのは、米ニューメキシコ州立大学でオウムの音声学習について研究する生物学者のティモシー・ライト氏。今回の論文には参加していないが、高度な知能を持つオウムの理解をさらに深めるものだと評価する。

「私はオウムを最も人間的な鳥と呼んでいます」とライト氏は言う。「そのような方向の証拠が、これでさらに増えました」

ゴミ箱を開ける「文化」はこうして広がった

シドニー南部の郊外にゴミ箱を開けるキバタンがいるという話が研究者の耳に入り始めたのは10年代の中ごろ。「興味深かったのは、ゴミ箱はどこにでもあり、その鳥もどこにでもいたにもかかわらず、その行動がどこでも見られるわけではなかったということです」とクランプ氏は話す。

クランプ氏らのチームは、シドニー大都市圏でオンラインによる調査を開始した。家の近所にいるキバタンがゴミ箱のふたを開けられるか質問したところ、約400の郊外地区に住む人びとから回答があった。

18年の最初の調査では、南部の3つの地区で、くちばしと爪を使ってゴミ箱をこじあけるキバタンの目撃情報が確認された。19年の末までには、これが44の地区にまで広がっていることがわかった。データを地図上に記入すると、この行動が予測可能なパターンで放射状に広がっていることが明らかになった。ゴミ箱を開けるのは、行き当たりばったりではなく学習された行動だと明確に示されたとクランプ氏は言う。

そのうちに、この鳥は足やくちばしの使い方を変えるなど、ふたを開ける様々な方法を編み出した。これは地域ごとの下位文化(サブカルチャー)だと論文は述べている。

研究の過程で、科学者らは約500羽の郊外のキバタンを慣らすことに時間を費やした。キバタンが科学者らの存在に慣れると、それぞれの羽に化粧用のスポンジを軽く押し当てて、毒性のない塗料を塗った。どの個体がゴミ箱を開けられるのかを見分けるためだ。

印を付けた500羽のうち、ゴミ箱を開けられたのは10%だけだった。そのほとんどがオスだったが、これはキバタンの社会階層ではオスの方が優位にあることや、オスの方が体が大きいためにふたを開けやすいことが理由ではないかとクランプ氏は考えている。年齢層による違いはなく、若鳥も年を重ねた鳥も、同じようにふたを開ける才能を発揮していた。

科学にクラウドソーシングを活用

今回の研究では「キバタンがエサ取り行動を変化させて新たな食料源を利用しうること、実際にすることが明確に示されました。この行動がほかの個体に伝えられ、時を経ても、少なくともこの研究の期間は維持されることもわかりました」と言うのは、オーストラリアのクイーンズランド大学でオーストラリアのオウムの研究をしている生態学者、ダニエラ・テイシェイラ氏だ。

今回の研究は「希望を与えてくれる」と氏は言う。絶滅の危機にひんしているオウムたちも同じように、新たな食料の探し方を覚え、その知識を仲間と分け合うことができるかもしれない。オーストラリア南東部に生息するアカオクロオウムは、絶滅危惧種のひとつで、野生の個体数が1500羽を下回っている。

テイシェイラ氏は、この研究が市民科学、いわば地域社会の力を野生のオウムの調査に活用したことも称賛する。「短期間にこの行動が広がっていったことが確認できたのも素晴らしいし、それが市民科学によって成し遂げられたのはもっと素晴らしいです」と言う。「新しいアプローチです」

「これまでも心ではわかっていたように、オウムは大変賢い動物なのです」

(文 CHRISTINE DELL'AMORE、訳 山内百合子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年8月8日付]

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