以前の勤め先での評価に、採用側は関心が薄い

過去こんな実績を生んできた。過去こんな年収をもらってきた。過去こんなポストについていた。

実力があるにもかかわらず、なかなか転職活動が進まない人の共通点は、このFさんと同じような「過去の実績を軸にした自己評価の高さ」です。実績をもとに「自分の値段」は決まっていて、価格決定権も自分にあると考えているように見えてしまう可能性をはらんでいます。転職経験のない人ほど、過去の実績が未来の年収を決める最重要因子だと思い込んでいる傾向があります。

しかし、雇用する側が知りたいことは、その人が他の会社で「過去、どれだけ実績を残したか」ということではなく、「今後、自社でどれだけの利益を生み出してくれるか」という入社後の未来の活躍を裏付ける情報なのです。極端に言えば、過去に他の会社がその人をどのように評価してきたかということには全く関心はありません。このギャップが、転職活動のミスマッチを生む最大の壁となっています。

「定額固定給与」から「利益分配型報酬」という考え方へ

日本の雇用慣習の中で働いてきた人々の中には、「労働時間と交換に給料をもらっている」という暗黙の前提が根強く残っています。もちろん仕事の内容や業種によっては、労働集約産業であるがゆえにその考え方が適しているケースが多いのも事実です。

しかし、事務系専門職や営業職などのホワイトカラーやエンジニア領域では、「成果に見合った報酬を獲得する」という前提に切り替えたほうが、働く人にとっても公平感が高くなるような仕事が増えています。

特に40歳を超えてきたベテランになるほど、新卒社員のような「将来の伸びしろへの期待」は減り、「今、ここで稼ぐ力」が求められます。

「決められた時間働くことで、会社から毎月定額の固定給与を“もらう”」という考えから、「自分が稼いできた利益から適正な分配率で報酬を“獲得する”」という考え方に自ら切り替えていかなければ、年収を上げていく糸口すら見つからないということになりかねないのです。

『給与』に関しては、ひとたび「労働時間と交換される受動的に対価を受け取る権利である」という錯覚を持ってしまうと、固定観念としてしみ込んでしまうので、これを脱するのはなかなか厄介です。意識の中からは、『給与』という言葉を聞いたら『報酬』という言葉に変換して、「自分が提供した価値から生み出した利益の中から能動的に勝ち取るものである」という認識を、自分の頭の中にしつこいくらいに刷り込んでおいたほうがいいかもしれません。

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