「パンチャ・ピエーナ」のこだわりは、地粉オリーブ生パスタを使ったカレーやきそば

深谷駅から徒歩20分ほどの住宅地にあるのが、イタリア家庭料理店「パンチャ・ピエーナ」。やや分かりにくい場所ながら、なかなかの繁盛店だ。イタリア風のカレーやきそばを注文後、店内を観察していると、何本ものギターや絵画に加え、五輪の聖火リレーのトーチもある。果たしてオーナーシェフの栗原統さんと関係があるのか。

登場したイタリア風カレーやきそばは、カレーのルーをまぶした乾麺パスタに、たっぷりの深谷ネギ、モヤシが潜り込ませてあり、フランクフルトソーセージが刻まれ、地酒が隠し味に仕込まれている。取材で深谷市詣が続き、連日の炭水化物攻撃は少々きついものの、完食できてしまうのはカレーと味の巧みさゆえか。

栗原さんの中学時代の恩師、吉野富美夫さんが駅ビル内で絵画作品を展示中だと聞き、帰途のぞいてみたら、吉野さんが笑顔で話を聞かせてくれた。「私が新任の美術教師で深谷中に来た時、ラグビー部の顧問をやりました。そこで出会ったのが中1の彼。チームをまとめ上げる力もあり、私の絵も彼の店に飾ってくれている。実は昨日も『地粉オリーブの生パスタ』のカレーやきそばを食べたばかり。あれは絶対に食べなくちゃ!」

……という訳で後日、再び栗原さんの店を再訪し、恩師推奨のメニューを注文した。地養卵の目玉焼きがのったうえ、生パスタの奥深さが加わったそれは、確かに前回食したカレーやきそばより、メダルの色が1ランク上のような気がする。「ご当地グルメコンテストでは『深谷ナポリタン』を提案したんですが、準グランプリに留まった。そんなスパイシーな悔しさの中から考案したのがこのメニューです」

栗原さんは、地元の中学を卒業後、群馬県高崎市のラグビーの強豪、東京農大二高に進み、部活動でラグビーに励んだ。吉野先生との師弟愛もさることながら、バンドマンとしても活動し、イタリア料理に目覚めて遍歴する人生は一巻の書に値するのだが、残念ながら紙幅がない。

店の聖火のトーチは、2012年から「深谷ねぎまつり実行委員長」を務めてきた功績で推薦され、7月初めに、埼玉県本庄市から深谷市までの聖火リレーでアンカーを務めた際の記念の品だった。「トーチを持って走った際は、金色の深谷ネギの束を握っている自身の姿を想像しました」

思わず吹き出したが、深谷人のネギへの思いは熱い。深谷市では11月23日の勤労感謝の日を、「深谷ねぎらいの日」と定めているほど。栗原さんが見せてくれたスマートフォンの写真には、東京五輪のユニホームを着て本物の深谷ネギを掲げて走る友人の姿があった。あっぱれ、深谷ネギよ。青天を衝け!

(ジャーナリスト 嶋沢裕志)

※本記事の情報は取材時点でのものです。

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