今回のテーマは、学生のうちから知っておきたい資産形成の話。最近、若い世代からも注目を集めている「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」や「NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」について、日本経済新聞社の田村正之編集委員が解説します。聞き手は「しゅんダイアリー」こと福田駿さんと、筑波大学大学院2年の松原咲樹さんです。
Q 大学生でも130万円以上稼いでいる人はいますが、税金の負担を減らす方法はありますか?
「iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金」というものがあります。これは、金融機関を選んで預貯金や投資信託など自分の好きなものに毎月掛け金を掛けて、60歳以降に引き出す仕組みです。そして、この掛け金の部分が税金の対象から外されます。
130万円を超えると本来は所得税がかかりますが、例えばiDeCoを月2万円、年間24万円やると、その分だけ非課税の枠が広がり、税金が安くなるんです。例えば150万円の給与収入だとイデコを24万円やれば、やらないときに比べて税金は3万6000円も減ります。iDeCoは、老後の備えが増えるだけではなく、現役時代の税金も減らせますし、さらに投資の勉強にもなるのでおすすめです。
Q 60歳以降にならないと引き出せないのがデメリットのように感じるのですが?
あくまでも「老後の資産を作る年金の仕組み」なので、デメリットと思う人も多いようですが、老後資産を引き出せてしまうと途中で使ってしまうので、例えば「貯金箱は割れないほうがいい」と考えるといいと思います。
ただ、やっぱり途中で使うお金も運用で増やしたいですよね。その場合に向いているのが「NISA(ニーサ)=少額投資非課税制度」です。通常、投資してもうかった場合、そのうちの2割が税金としてかかりますが、NISAを使うとその税金がかからなくなります。そして、iDeCoと違っていつでも引き出せるので、教育資金や住宅資金など、途中で使うことが想定されるお金は、iDeCoではなくNISAで増やすようにするといいと思います。NISAには、一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。
Q 「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いはなんですか?
一般NISAは、毎年掛けられる金額が年間120万円と大きいのですが、非課税期間が5年間しかありません。一方でつみたてNISAは、年間最大40万円しか掛けられませんが、20年間非課税です。一般NISAとつみたてNISAは、同じ年に両方やることができないルールになっていてどちらかを選ばなければならないのですが、おすすめはつみたてNISAだと思います。
Q NISAと比較したときのiDeCoのメリットはなんですか?
iDeCoのほうが、税制優遇が大きいと言われています。NISAはもうかったときの税が免除になるだけなので、もうからなければ何のメリットもありません。一方でiDeCoは掛け金をかけた時点で節税効果が発生します。対象は預貯金でもいいので、どうしても投資が怖い人は預貯金で節税効果を得る手もあるわけです。ただし60歳までの長い期間の運用になるので、基本的には株式の投資信託中心に長期で資産を増やすのがおすすめです。
iDeCoは税優遇が大きいが、60歳まで引き出せない。住宅資金など、途中で使うお金を増やしたいなら、つみたてNISAがおすすめ。