声は「その人」の情報の宝庫 感情と一緒に今を届けるVoicyCEO・緒方憲太郎氏 VS. TVプロデューサー・佐久間宣行氏

『ボイステック革命』著者緒方憲太郎氏(左)と「オールナイトニッポン0(ZERO)」でパーソナリティーを務める佐久間宣行氏
『ボイステック革命』著者緒方憲太郎氏(左)と「オールナイトニッポン0(ZERO)」でパーソナリティーを務める佐久間宣行氏

多くの人気バラエティー番組を手掛ける名物プロデューサー、佐久間宣行氏は、ニッポン放送のラジオ番組「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティーも務めている。音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」を運営する緒方憲太郎氏と佐久間氏が、「しゃべりの魅力」について語り合った。

「(笑)」では伝わらない何か

緒方 僕は『ボイステック革命』という本を出してから、「音声ビジネスをやっているのになぜ紙の本?」ってよく聞かれるんですが、音声のおもしろさを、「聴きなれてない人」にも届けたくて。

本と音声の「ハイブリッド」にもチャレンジしていて、プロローグをボイスドラマにしたり、「あとがき」を声で配信したりして、今も更新しています。「本の続き」が声で聴けるのっておもしろいかな、と。

佐久間さんはなぜ、ラジオ番組を本にされたんですか?

佐久間 出版社から「フリートークを中心にした番組本を作りたい」という提案があり、それを聞いて「そうか、ラジオはストックされないから、本で残すのはいいな」と思ったんです。

僕、学生時代に伊集院光さんの番組を録音したカセットテープをいまだに保存しているのですが、「伊集院さんの、あの時のしゃべりがすごかった」と思っても、普通は簡単に聴けないじゃないですか。

緒方 トークを活字にすると、その時の雰囲気が失われそうな気がするんですが、この本は空気感まで伝わります。

佐久間 実は最初に上がってきた原稿は「ちょっと違うな」って感じだったんです。「〇〇なんです(笑)」とか書いてあって、「こんな感じじゃなくて、1人でゲラゲラ笑いながらしゃべってるよなー」と思って。

「しゃべってるときのテンションが出るようにしたい」と何回かやりとりして今の形になりました。

緒方 「フッハハハハ~」とか「ワハハハハ」とか書いてありますもんね。

佐久間 そうなんです。普通は「(笑)」ですよね。

「おもしろいしゃべり」はどこから生まれるのか

緒方 僕が生まれ育った関西って、話がおもしろいヤツが一番モテるんですよ。イケメンが「オレは話がおもしろくない」って悩むという。

佐久間 僕が育った福島は、まったくそうじゃなかったです。僕自身もおしゃべりだった記憶はないんです。

緒方 それなのにしゃべるようになったというのは、なぜなんですかね。

佐久間 うーん。かーちゃんがめちゃくちゃしゃべってましたけど。

家では、奥さんと娘がずっとしゃべってます。ラジオを始めるとき、奥さんからは「え? パパそんなにしゃべれるっけ?」って心配されました。親しい人からは「そんなにしゃべる人だったの?」って驚かれたし。

例えば僕、小説家の西加奈子さんや朝井リョウさんたちと時々ご飯を食べに行ってたんですけど、あの人たちの話ってものすごくおもしろいから、いつも黙って聞いてたんです。そうしたら僕のラジオを聴いた西さんから、「あんた、私らの話をニコニコして聞いてたけど、ずっとしゃべるの我慢してたん? ゴメンなー」みたいに言われました。

緒方 「いいしゃべり」のシャワーをたっぷり浴びてきたんだ。

佐久間 うーん、そうかもしれない。僕は、僕の話をずっと聞いてくれてるタイプの人と仲良くしてた記憶があんまりないんです。今も、仲がいい人は、勝手にしゃべってるタイプが多い。自分がしゃべるのは、ラジオ番組みたいに「しゃべるぞ」と決めたときだけって感じで。

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感情を乗せたしゃべりは聴く人を巻き込む
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