91年、テレビCMをグローバルで初めて放映し外国人の男女が登場する情熱的な内容で、狙い通り大人からの人気も獲得した。

91年に初めてテレビCMを放映した

子どもから年配者まで幅広いユーザーに支持されるようになり、しばらくはおいしさを前面に訴求してきた。2008年からは国内で活躍する有名人をキャラクターに起用したCMをスタート。真矢みき、知花くらら、熊川哲也らの声だけの出演に続き、11年に柴咲コウを起用した冷蔵庫から出して「食べごろになるまで待つ時間」も楽しむという情緒訴求のCMが話題になった。「情緒訴求を加えたことで、モノの価値だけでなくハーゲンダッツならではのベネフィットを伝えられるようになった」(同)

16年には「幸せだけで、できている」のキャッチフレーズでさらに情緒訴求を推し進め、中条あやみを起用したCMでブランド力を高めた。途中から佐藤がキャラクターに加わり、男性タレントとして初めてCM本編に登場した。

佐藤を選んだ理由、そして今回平手を新たに追加起用した背景は何なのか。

本物感&芯の強さ

「メインターゲットの20~30代女性に向け、これまでは女性が食べるシーンで自分ごと化してきた。今回は女性ファンが多く、役者として質の高いパフォーマンスを発揮される佐藤さんの本物感がブランドイメージと合致し、適任と判断し出演いただくことにした。平手さんはグループ卒業を経て、その芯の強さや新しいステージへチャレンジされる前向きさが、いいことがなかった日にも前を向こうというメッセージにぴったりだった」(同)

平手は元アイドルながら女性ファンも多く、特に若年層への訴求力も評価したという。当時、まだ知名度が高いとは言えなかった中条をCMに起用したことからも分かるように、ハーゲンダッツはキャラクターに認知度だけを求めていない。ブランドメッセージとのマッチングを何よりも大切にする。既に圧倒的な知名度を誇る佐藤と平手の起用は、このブランドメッセージとの親和性を重視した結果と言えそうだ。

コンビニやスーパーで売っている他のアイスに比べての割高さゆえ、「おいしいのは知っているが私には関係ない」と敬遠する人も多かったと言う。強力なキャラクター2人に、ありそうな日常感を演じさせることで視聴者にも自分ごと化してもらい、ライト層を刺激している。

(ライター 北川聖恵、写真提供 ハーゲンダッツジャパン)

[日経クロストレンド 2021年7月30日の記事を再構成]

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