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失われた第8の大陸はあったのか? 最後のピース発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

南太平洋に、マオリ語で「テ・リウ・ア・マウイ」と呼ばれる失われた第8の大陸「ジーランディア」が隠れている。現在、約490万平方キロメートルにおよぶジーランディアの大半が海底下にあり、ニュージーランドの島々は海上に突き出たこの大陸の一部だ。

ジーランディアは最近になってその存在が科学者たちに認められた。これまで知られている中で、最も多くの部分が海中にあり、最も薄く、最も若い大陸だ。

2018年の夏、ニュージーランドの研究機関GNSサイエンスの地質学者ローズ・ターンブル氏は、ニュージーランドで採取された細かい砂粒の中から、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム)の小さな結晶を探し集めていた。ジーランディアがどのように形成されたのか、この結晶が謎を解くカギとなることを期待していた。

そこから明らかになったのは、思いがけない事実だった。ニュージーランドの南島とスチュワート島の下に、今から10億年も前の「超大陸」の陸塊の痕跡が隠れていたのだ。この発見は、ジーランディアがこれまで考えられていたほど新しくないことを示唆しており、大陸としての地位を強固にする可能性がある。

ターンブル氏らによる論文は21年5月12日付で学術誌「Geology」に掲載された。この発見は、長年にわたり科学者たちを当惑させてきた謎を解く助けになるかもしれない。

ほとんどの大陸は、クラトン(安定陸塊)と呼ばれる、10億年以上前にできた安定な大陸地殻の上に形成されている。ところが、これまでに見つかっていたジーランディアの大陸地殻は地質学的に新しく、最も古い部分でも約5億年前のものだったのだ。ジーランディアが大陸であるなら、なぜクラトンがないのだろう、というのが謎だった。

今回発見された古い岩石の断片は、ジーランディアの「欠けていたピース」かもしれない。ターンブル氏は、この発見により「最後のチェック項目が満たされました」と話す。「私たちは確かに大陸の上にいるのです」

今回の発見は、ジーランディアだけでなく、すべての大陸地殻がどのようにして形成されたのかという、より大きな謎にも関わっていると、米カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の地質学者で花崗(かこう)岩を専門とするジョシュア・シュワルツ氏は説明する。

「地殻は地球のいちばん上にあります。すべての生命活動が、この薄い層で行われています」と氏は言う。私たちは大陸地殻の上に住み、作物を育て、水を引き、鉱物を採掘する。「私たちの生活のすべてが地殻の上に成り立っていると言ってよいのです」

失われた大陸の発見

科学者たちは何十年も前からジーランディアを追い求めてきたが、これを大陸として定義するのには厄介な問題があった。「実は、地質学には大陸の明確な定義がないのです」とシュワルツ氏は言う。

大陸としての重要な要素の一つに、岩石の組成がある。ニュージーランドの周囲の海底は、海洋地殻によく見られるマグネシウムや鉄が豊富な岩石ではなく、大陸地殻によく見られるような、シリカを多く含む花崗岩などの岩石からできている。また、この岩石が広がる面積は広大で、周囲の典型的な海洋地殻に比べて著しく厚く、高くなっている。

GNSサイエンスのニック・モーティマー氏が率いる科学者チームは、17年にこうした点を挙げ、ジーランディアを大陸と呼ぶべきだと提唱した。だがその一方で、奇妙に思われる点についても言及している。ジーランディアにはクラトンがないように見えたのだ。

「おかしなことです」と米バーモント大学の構造地質学者キース・クレペイス氏は言う。大陸地殻は海洋地殻に比べて浮力が大きいため、表面の岩石をマントル内に戻すプロセスに逆らう傾向がある。安定した大陸地殻であるクラトンが土台となり、プレートのゆっくりとした運動によって運ばれた島弧などの陸塊が大陸地殻の端に積み上げられ、大陸が成長していくのだ。

これまで、ジーランディアの最古の地殻は、ジーランディアがゴンドワナ大陸の端にあった約5億年前に形成が始まったと考えられていた。

今回の研究では、ニュージーランドの南島とスチュワート島で採取された169のサンプルが調べられた。サンプルには、ターンブル氏のチームが何度も現地に足を運んで採取してきたものと、過去の研究で採取・分析された岩石が含まれ、対象地域の全域を網羅している。

彼らは研究室で岩石サンプルを砕き、密度と磁性によって粒子を選別して、ほぼジルコンの結晶のみからなる細かい砂にした。ターンブル氏はそこから数千個のジルコンを拾い集めて顕微鏡のスライドにのせ、エポキシ樹脂で固めて表面を研磨し、化学分析に取りかかった。「本当に骨の折れる作業でした」と氏は振り返る。

結晶に秘められた物語

データが蓄積してくると、意外な物語が浮かび上がってきた。分析には、ジルコンの年代だけでなく、溶けてジルコンになる以前の母岩の年代までモデル化できる手法を用いた。その結果、南島とスチュアート島の東海岸に沿って分布するジルコンは、13億年前に形成された地下の岩石が由来であることがわかったのだ。

当時、地球上のすべての陸塊はゆっくりと衝突に向かっており、最終的にはロディニアという超大陸が形成された。研究チームは、こうした地球規模の陸塊の衝突と分裂の過程でできたマグマポケットが、やがて、現在のニュージーランドの地下深くにある古い岩石となったのではないかと提案する。ジーランディアは、こうしてできた安定陸塊クラトンの断片の上に形成されたことになる。

ジルコンには、ジーランディアが親の超大陸から分離したときの痕跡も残されているようだ。なぜならこれらの結晶は、酸素18という酸素同位体の含有量が少ないからだ。研究チームによると、ロディニア超大陸の地下にある高温のマントルプルームが地殻の一部をもろくしたことで、超大陸は約7億5000万年前に分裂し、ジルコンの母岩に酸素18の痕跡を残したのではないかと考えている。

ジルコンの結晶とその周囲の岩石が形成されたのは5億年前から1億年前になってからで、激しい火山活動が、隠れていたロディニア大陸の地殻を部分的に溶かした後のことである。マグマの塊はゆっくりと上昇し、結晶化して、ジルコンを含む花崗岩になった。この小さなタイムカプセルが地殻変動によって地表に出てきて、たまたまターンブル氏のチームによって採集されたのだ。

「科学の世界では、こういうことがよくあります」とターンブル氏は言う。「私たちが発見したものは、必ずしも私たちが発見しようとしていたものではありませんでした」

若い大陸

今回の発見は、ジーランディアの地殻がかつて考えられていたよりもはるかに古いことを示唆しているが、それでも他の大陸地殻に比べればかなり新しい。アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、北米、南米、南極という現在の主要な大陸には、30億年以上前の岩石がある。シュワルツ氏は、現段階では大陸やクラトンを定義する明確な年代はないものの、いずれも長い歴史をもつことから、これらの陸塊は非常に長く存続することが予想されると説明する。

もしかすると、ジーランディアは若い大陸なのかもしれない。「私たちは中央の(ロディニア)大陸の断片のまわりに大陸が形成されるプロセスを見ているのです」とシュワルツ氏は言う。ターンブル氏も同じ意見で、「クラトンが誕生するところのようです」と付け加える。

ジーランディアの起源を明らかにするためには、さらなる研究が必要だ。今回の研究の結論は、ロディニア大陸の断片ではなく、その下にあるものの痕跡から導かれたものであり、チームが発見した化学的な特徴を生み出したステップには不確実な点があるとオーストラリア、ジェームズ・クック大学の地球化学者アレックス・マッコイ・ウェスト氏は指摘する。

「実際に真の証拠を見つけることができたら、すばらしかったのですが」と氏は言う。

それでも今回の研究は、地球の表面でワルツを踊るように移動してきた大陸が、周期的に合体して超大陸になったり引き裂かれたりしてきた過程をよりよく理解するのに役立つはずだ。

「新しい岩石から、はるかに古い物語の一端をつかめることを教えてくれる研究です」と オーストラリア、クイーンズランド大学の地質学者ジャック・マルダー氏は評価する。なお、氏は今回の研究には参加していない。

ターンブル氏は、ジーランディアからはまだまだ多くの発見があると確信している。「現地調査を進めたくて、うずうずしています」

(文 MAYA WEI-HAAS、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年8月3日付]

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