失われた第8の大陸はあったのか? 最後のピース発見

2021/8/23
ナショナルジオグラフィック日本版

ニュージーランドは、フィヨルドランド国立公園(写真)をはじめとする驚異的な地質景観に恵まれている。こうした景観は、謎に包まれた8番目の大陸「ジーランディア」のほんの一部にすぎない。このほど、ニュージーランドの東海岸の地下に古代の超大陸の陸塊が隠されていたことが明らかになり、ジーランディアの複雑な過去を解き明かすカギとなることが期待されている(PHOTOGRAPH WESTEND61 GMBH, ALAMY STOCK PHOTO)

南太平洋に、マオリ語で「テ・リウ・ア・マウイ」と呼ばれる失われた第8の大陸「ジーランディア」が隠れている。現在、約490万平方キロメートルにおよぶジーランディアの大半が海底下にあり、ニュージーランドの島々は海上に突き出たこの大陸の一部だ。

ジーランディアは最近になってその存在が科学者たちに認められた。これまで知られている中で、最も多くの部分が海中にあり、最も薄く、最も若い大陸だ。

2018年の夏、ニュージーランドの研究機関GNSサイエンスの地質学者ローズ・ターンブル氏は、ニュージーランドで採取された細かい砂粒の中から、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム)の小さな結晶を探し集めていた。ジーランディアがどのように形成されたのか、この結晶が謎を解くカギとなることを期待していた。

そこから明らかになったのは、思いがけない事実だった。ニュージーランドの南島とスチュワート島の下に、今から10億年も前の「超大陸」の陸塊の痕跡が隠れていたのだ。この発見は、ジーランディアがこれまで考えられていたほど新しくないことを示唆しており、大陸としての地位を強固にする可能性がある。

ターンブル氏らによる論文は21年5月12日付で学術誌「Geology」に掲載された。この発見は、長年にわたり科学者たちを当惑させてきた謎を解く助けになるかもしれない。

ほとんどの大陸は、クラトン(安定陸塊)と呼ばれる、10億年以上前にできた安定な大陸地殻の上に形成されている。ところが、これまでに見つかっていたジーランディアの大陸地殻は地質学的に新しく、最も古い部分でも約5億年前のものだったのだ。ジーランディアが大陸であるなら、なぜクラトンがないのだろう、というのが謎だった。

今回発見された古い岩石の断片は、ジーランディアの「欠けていたピース」かもしれない。ターンブル氏は、この発見により「最後のチェック項目が満たされました」と話す。「私たちは確かに大陸の上にいるのです」

今回の発見は、ジーランディアだけでなく、すべての大陸地殻がどのようにして形成されたのかという、より大きな謎にも関わっていると、米カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の地質学者で花崗(かこう)岩を専門とするジョシュア・シュワルツ氏は説明する。

「地殻は地球のいちばん上にあります。すべての生命活動が、この薄い層で行われています」と氏は言う。私たちは大陸地殻の上に住み、作物を育て、水を引き、鉱物を採掘する。「私たちの生活のすべてが地殻の上に成り立っていると言ってよいのです」

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