答えと解説

正解(内臓脂肪の説明として間違っている記述)は、(3)BMIが25未満(基準値内)であれば、内臓脂肪の心配はまずない です。体重やBMI(体格指数。体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]で計算)の値が小さくても油断はできません。

肥満には、脂肪が蓄積する場所によって皮下脂肪型と内臓脂肪型があり、問題となるのは、内臓脂肪が蓄積したタイプの肥満です。では、そもそもなぜ内臓脂肪の蓄積はいけないのでしょうか?

これについて生活習慣病予防のエキスパートである大阪大学大学院公衆衛生学特任准教授の野口緑さんは、「一言で言えば、『内臓脂肪がたまると、脳心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)を起こしやすくなる』からです」と言います。

脂肪組織を構成する脂肪細胞は、「脂肪の備蓄庫」であるだけでなく「内分泌器官」でもあり、様々なアディポサイトカイン(生理活性物質)を分泌しています。アディポサイトカインは本来、糖や脂質の代謝を円滑にする働きを担っていますが、脂肪細胞が一定以上に肥大化するとインスリンの働きを阻害したり、血圧上昇を命令したりするような悪玉のアディポサイトカインが分泌されるようになり、高血糖・高血圧・脂質異常、ひいては動脈硬化を進めて脳心血管疾患を引き起こす原因となります。「脂肪細胞の肥大化は皮下脂肪でも見られますが、悪玉の物質を出すのは肥大化した内臓脂肪だけといわれています」(野口さん)

一定以上に大きくなった脂肪細胞が分泌する悪玉物質にはいろいろなものがあります。例えばTNF-α(ティエヌエフアルファ)は、インスリンが分泌されても、それが効きにくいように働いてしまうインスリン抵抗性を引き起こします。その結果、血液中のブドウ糖が筋肉や肝臓に取り込まれにくくなり、血糖値の上昇につながります。

また、アンジオテンシノーゲンという物質には、血圧を上げるよう命令する作用があります。PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1;パイワン)は血液を固まりやすくし、血栓をできやすくします。こうした悪玉の生理活性物質の影響で、血圧や血糖値が高くなり、そうした状態が長期間続くことで動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞が起こるわけです。

肥大・増殖した脂肪細胞は、体に悪い様々な生理活性物質を出すようになり、それが高血糖、高血圧、高中性脂肪などの原因となる。原画=(C)designua-12

体重やBMIの値が小さくても安心できない

では、内臓脂肪がどのくらいたまると、良くないのでしょうか。その目安は、CTスキャンで、おへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積が100平方センチメートルを超えるかどうか。男性なら腹囲85cm、女性なら90cm以上ある場合は要注意とされます。

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