検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

コロナ下の「フレイル」予防 IT活用で高齢者も楽しく

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

高齢者らを対象に、IT(情報技術)を駆使して運動を促すサービスが続々と登場しています。新型コロナウイルス感染症を警戒して自宅にこもりがちになると、「フレイル」と呼ばれる心身の虚弱が進んだり、認知症を発症するリスクが高まったりするといわれます。ビデオ会議システムを使ったリモートでの運動指導プログラムや、楽しみながら街歩きができるスマートフォンのアプリなどで、こうした状態に陥るのを予防するのが狙いです。

一般社団法人・日本老年学的評価研究機構が高齢者約1万4千人を対象に昨年実施した調査によると、新型コロナ流行前と比べ、介護予防の運動プログラムを行う「通いの場」や「学習・教養サークル」などへの参加や、スポーツ、ボランティア活動の頻度が減少したと答えた割合がそれぞれ6割前後に上りました。また、感染者が多かった地域で、要介護度が高くなったり、フレイルや抑うつ傾向が高まったりしていました。

こうした中、NECはフレイルを予防する街歩きアプリのサービス提供に乗り出しました。シニアがスマホを持って街中や郊外の指定スポットを巡り、スポットごとに再生されるクイズに答えたり、映像の指示に従って体を動かしたりします。

各地の駅弁店が加盟する日本鉄道構内営業中央会と協力。第1弾として山形県のJR米沢駅前の駅弁販売店を拠点に、6月からサービスを始めました。音が立体的に聞こえるNEC独自の音響技術で臨場感を高め、家に引きこもりがちな高齢者を街歩きに誘うのが狙いです。

公益財団法人の明治安田厚生事業団は、八王子保健生活協同組合や電通国際情報サービスなどと協力して、東京都八王子市内でエアロビックのインストラクターが、ビデオ会議システムを通して毎朝運動を指導する試みを始めました。

同事業団の兵頭和樹研究員は「リモートなら自宅から参加できるし、体調が悪くて外出できないときも取り組みやすい」と狙いを語ります。今後新型コロナ感染症が落ち着いた段階では、リモートとリアルのハイブリッド型の運動プログラムを企画する予定です。

アステラス製薬はバンダイナムコエンターテインメントと、ゲーム形式の運動支援アプリを開発しました。ゲームキャラクターの「パックマン」が登場し、楽しみながらスクワット運動などができます。

ワクチン接種が進むとともに今後高齢者の外出の機会も増え、現在中断している高齢者の活動の場も復活していくと予想されます。その一方でリモートやアプリを使うことで参加者の層が広がります。ポストコロナの時代でも、高齢者の健康づくりへのIT利用は進みそうです。

兵頭和樹・明治安田厚生事業団研究員「交流や刺激、体調維持に重要」

高齢者を対象にしたオンラインによる運動指導など老化予防研究プロジェクトを進めている明治安田厚生事業団・体力医学研究所の兵頭和樹研究員に、研究を始めた背景やこれまでに確認された老化予防の効果などを聞きました。

――研究プロジェクトの背景や目的は何ですか。どのような体制で進めているのですか。

「日本が直面する課題として健康寿命の延伸、つまり健康な状態で長生きする人を増やすことが挙げられます。ところが昨年来の新型コロナウイルス感染症の広がりで、活動の自粛が続いており、高齢者が従来、健康づくりや趣味のために参加してきた活動が制限され、その悪影響が懸念されています。運動や社会的交流の不足によって認知機能の低下、生活習慣病、要介護一歩手前のフレイル(虚弱)のリスクが高まるという問題です」

「その解決の一助とするため、高齢者がリモートでも参加できる運動プログラムを企画しました。研究所の地元(東京都八王子市)にある八王子保健生活協同組合の加入者から参加者を募り、システム運用のアプリ開発などは電通国際情報サービスが担当しています。運動プログラムの開発は日本エアロビック連盟が担い、インストラクターも派遣してもらいます。『八王子プロジェクト』と名付けて研究を進めています」

――今年初めにオンライン運動教室を試行的に始めたそうですね。

「高齢者16人を対象に、2021年2月初めから3月末までの8週間、トライアル研究を実施しました。参加者全員にタブレット端末を貸し出してビデオ会議システムを使い、毎朝8時半から約20分間、運動教室に参加してもらいました。運動は『スローエアロビック』とよばれる筑波大学と日本エアロビック連盟が開発した低強度のリズム体操です。指導はプロのインストラクター3人が交代で、それぞれ自宅から行いました」

「研究では参加者の安全確保と、詳細なデータ取得を目的に、体力医学研究所の担当者が参加者全員の状態を常時モニターする体制をとりました。プログラム参加前に血圧や体調全般についてオンラインでアンケートを行いました。参加者には心拍数を測る器具をつけてもらい、運動中の心拍数の変化を記録しました。無理な運動にならないように最大心拍数の60%を目安にして、それを超えた参加者に対しては『少しゆっくりと運動しましょう』などとリモートでアドバイスしたりしました」

――結果はどうでしたか。

「参加者を対象にした心理テストでは、プログラム参加前と比べ参加後では活気や活力を示すスコアが有意に向上し、ネガティブな心理状態を示すスコアが低下する傾向が確認できました。また、高齢者の抑うつ性の程度を評価する抑うつ評価尺度の数値も低下傾向がみられました。暫定的な結果ではありますが、運動プログラムが参加者にとって飽きずに継続して楽しめるものになっていること、そして、プログラム参加によってポジティブな気分の向上とネガティブな気分の低下につながっている可能性が見えたと思います」

「8月末からは規模を拡大した効果検証研究を3カ月間にわたって実施します。対象者は八王子市西部に居住する高齢者約100人。今回は実際に運動プログラムに参加する介入群と対照群それぞれ50人ずつにわけて、プログラムに参加した場合の心身への効果を厳密に調べます」

――実用化に向けてどのような課題がありますか。

「現状では参加者にタブレット端末を貸与し、参加者一人一人の状態を常時モニターする体制をとっています。実用化の段階ではコスト面も考慮して、余分な機能を省くなどシンプルで実用性の高いシステムにする必要があります」

「一方、コロナ禍の今はオンラインでのプログラムが中心になるのは仕方がありませんが、高齢者にとっては1つの場所に集まって、交流したり刺激を受けたりすることも、体調維持やメンタル面で重要です。リアルなプログラムを実施する一方で、遠くに住む人や、その日の体調が悪くて外出を控えたい人向けにオンラインのプログラムを用意するというハイブリッド方式が現実的で効果が高い方法だと思います」

「来年度以降、八王子市内の高齢者が多い団地などでより大規模な運動プログラムを計画しています。コロナの感染者数の推移やワクチン接種の進み具合も見ながら、団地内にリアル会場を設けて集まってもらうとともに、リモートでも参加できる仕組みを実際に作れないか検討しています」

(編集委員 吉川和輝)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_