第三者との会話では「夫」? 「主人」?
さて、近年変化が起きているのは「第三者との会話の中で、パートナーを何と呼ぶか」ではないでしょうか。
「夫」「妻」という呼称が一般的になってきたものの、世間では若い世代でも「嫁」と呼んだり、人によっては呼称に無頓着だったりと個人差があるかもしれません。
アンケートでは女性に対して「第三者に話をしているときに、パートナーのことを何と呼びますか」と聞いたところ、最多は「夫」50%でした。
次いで「旦那・旦那さん」25.6%と続き、「主人」は9.1%と少数派。以後、続く回答を見ると「名字・名前」6.1%、「パートナー」と「パパ、父さん、お父さん、とうちゃん、おとうちゃん」が同率の2.4%。わずかに「相方」1.2%、「連れ合い・連れ」0.6%という回答もあり、「夫さん」は0%でした。
「その他・自由回答」は2.4%となり、「結婚しないため、彼」「家族」といった回答でした。

続いて、今回アンケートに回答してくれた男性9人にも同じ質問を投げかけたところ、最多は「かみさん」の33.3%。次いで「家内」と「その他・自由回答」が22.2%。「その他・自由回答」では「結婚していても『うちの彼女』と呼ぶ」「細君」という回答がありました。
女性ではパートナーの呼び方は「夫」が半数を占めましたが、男性が「妻」と呼ぶのは11.1%。「嫁・嫁さん」と同率でした。男性回答者の平均年齢が51.8歳だったことも関係しているのかもしれません(なお、女性回答者の平均年齢は43.0歳)。

他人の男性パートナーは「旦那さん」が最多
次は呼び方に迷うことが増えてきた、他人のパートナーについて見てみましょう。まず、他人の男性パートナーについての呼び方を聞くと、「旦那さん」が47%と最多。次に「ご主人」24.4%が続き、最近増えてきたと思われる「夫さん」が7.3%。
以後、「○○ちゃんパパ・○○くんパパ・パパさん」6.1%、「パートナーのかた・配偶者のかた」4.9%、「その他・自由回答」は4.3%、「名字に『さん』付け」3.7%、「お連れ合い」2.4%と続きました。
「その他・自由回答」では「既婚かどうかで呼び方を考える」「相手によって異なる。絶対に呼ばないのは、ご主人・配偶者・お連れ合い・相方」「パートナーさん」「ご夫君」「ハズバンド」といった声が寄せられ、各自工夫をしていることが分かります。

他人の女性パートナーを「奥さん」と呼ぶ人が圧倒的多数
同じく、他人の女性パートナーをどう呼ぶかを聞いてみると、最多は「奥さん」の73.8%。続いて「○○ちゃんママ・○○くんママ・ママさん」5.5%、「名字に『さん』付け」と「その他・自由回答」が4.9%、「パートナーのかた・配偶者のかた」と「お連れ合い」は4.3%。「夫さん」に対し、「妻さん」は1.8%と少数派。「お嫁さん」は0.6%でした。
「その他・自由回答」で目立ったものとしては「奥さま」。ほかには「パートナーさん」「ワイフ」といった声もありました。

「夫さん」「妻さん」という呼び方は浸透したのか
近年、じわりと増えている「夫さん」「妻さん」という呼び方についても聞きました。「賛成」は18.9%、「どちらかといえば賛成」が11%。こちらを合わせると29.9%が「賛成派」となります。
一方、「反対」は8.5%、「どちらかといえば反対」は14.6%となり、「反対派」は23%で、どちらも20%台となりました。
ただ、最多は「どちらでもいい」の31.1%となっています。
「その他・自由回答」では、「日本語として正解なのか?」「無理やりな感じがする」「夫、妻に『さん』付けはヘン」「初めて聞いた。でも、違和感はない」といった声があり、まだなじみのないと感じる人がいることが分かりました。

パートナーの呼び方に関するモヤモヤの正体は?
女性の回答をまとめると、自分の配偶者に関しては「夫」、他人の男性パートナーに関しては「旦那さん」が最多。それでも、ときに夫婦の呼び方が話題になったり、議論になったりするのはなぜでしょうか。その理由は「違和感」にありそうです。
アンケートの自由回答では、
「つい子ども目線になってしまい、『パパ』『ママ』が家庭外でも出てしまう」
「夫を場面によって主人と言ってしまうが、言った後に違和感が残る」
「友達のパートナーを旦那さんと呼んでしまったときに『旦那って』と自分にツッコミたくなる」
「以前、銀行の窓口をしているときは、『ご主人さま』『奥さま』という呼び方をしていたが、自分で使っていても嫌だった。でも、相手と相手のパートナーを丁寧に呼ぶと、そうなってしまう。早く夫さま、妻さまが定着するといい」
「自分の夫のことを『主人』と呼ぶママ友や友人が多く、聞くたびに違和感がある。バリバリ働いていても『主人』を意図的に使っている人にも違和感を覚える」
などと、困惑する声が多く寄せられました。
その大きな原因としては「適当な呼び方がない」ということも関係しているようです。はたして今の時代にフィットする呼び方はあるのでしょうか。
調査期間は、2021年5月14日~6月1日。23歳から73歳までの164人(女性93.3%、男性5.5%、その他1.2%)が回答。結婚については「未婚」1.8%、「既婚」93.3%、「離別・死別」1.8%、「その他」3.0%。
(構成 三浦香代子=日経xwoman)
[日経xwoman 2021年6月23日付の掲載記事を基に再構成]