2021/9/26

最高出力はエンジンが233kW(318PS)で、フロントモーターが34kW、リアモーターが65kW。強力なパワーユニットだが、馬鹿力で押すマッチョなタイプではない。エクステリアデザインはSUVらしからぬ優雅さがあるし、内装はシンプルで気品を感じさせる。運転感覚とデザインに統一性をもたせているのだ。新世代のボルボらしさにはっきりした形を与えようとする意思が感じ取れる。

「XC60」のプラグインハイブリッドモデルを運転して驚かされるのは、その静粛性だ。48Vマイルドハイブリッドのモデルに比べて、一段上の上質さが味わえる。
「XC60リチャージプラグインハイブリッドT8 AWDインスクリプション」の前席には、電動調節機構やヒーターだけでなく、マッサージ機能も備わっている。
左右の座席間には、クリスタル製のシフトノブや走行モードのセレクターなどが整然と並ぶ。
メーターパネルは液晶タイプ。写真のように、カーナビのマップも表示できる。
後席(写真)も前席と同様、上質なファインナッパレザーで仕立てられている。

山道を上って佐賀県有数の観光地に

高速道路では「全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)」と「パイロットアシスト(車線維持支援機能)」を使って安楽に走行。衝突回避被害軽減ブレーキや歩行者・サイクリスト検知機能などの先進安全装備や運転支援機能は、グレードにかかわらず標準装備されている。高速道路を降りて唐津市内に向かうと、にわかに空はかき曇り、夕立が襲ってきた。市内探索を諦めて海辺を目指すと雨は上がって夏の日差しが戻る。

長い松林が続くのは、虹の松原という名勝。約100万本の黒松が群生しているという。両側に青々とした松を見ながらドライブするのは爽快だが、ところどころ木が覆(おお)いかぶさるようになっているのが気になった。全高1660mmのXC60は大丈夫でも、バスはぶつかってしまいそうである。2年ほど前に倒れた松にクルマが衝突する死傷事故があったというから、何らかの対策が必要だろう。

海から目を転じて反対方向を見やると、小高い山を上っていく道を発見。ナビ画面で確かめると、くねくねとした道がある。勇んでクルマを乗り入れたものの、道が狭いうえに路面に暴走防止のうねりが仕込まれていた。スポーツ走行は無理だと観念し、おとなしくゆっくりと走っていくと、山頂の鏡山公園に到着。展望台からは海が一望でき、絶景を堪能できる。後で調べると、虹の松原と鏡山公園は佐賀県有数の観光地だとわかった。こういう思わぬ出会いも、無計画なクルマ旅の醍醐味(だいごみ)である。

唐津を後にして、次に向かったのは伊万里。市内に入ると、街角に伊万里焼の装飾があり、橋の欄干に焼き物があしらわれている。観光資源として押し出しているのがよくわかるが、市街地ではちょっと殺風景だ。少しはずれた場所にある鍋島藩窯公園に向かうことにする。

100万本ともいわれる黒松の並木で知られる、名勝「虹の松原」にて。
センターコンソールの9インチディスプレイは、縦長なのが特徴。カーナビゲーションのマップとしても使い勝手がいい。
佐賀県唐津市の鏡山は自動車用の道で山頂までアクセスできる。佐用姫神社や道祖神など、立ち寄りポイントも豊富。
標高284mの鏡山山頂からは唐津湾が一望できる。その沿岸に広がるのは、黒松が生い茂る「虹の松原」。

江戸時代の狭い道もクリア

のどかな田園風景を抜けると、少しずつ上り坂になっていく。石畳の道の両側には窯元や陶磁器販売店が並んでいる。歴史を感じさせる風情があるものの、いかんせん道が狭い。鍋島藩直営の窯があった江戸時代の町並みは、馬や駕籠(かご)ならちょうどよかっただろうが現代のクルマ向きではない。ありがたいことに4台の高解像度カメラを使った真俯瞰(ふかん)画像がモニターに映し出されるので、接近アラートの鳴るなかでなんとか切り抜けることができた。

XC60は全幅1900mmの堂々たるサイズなのに、少し前にボルボのフラッグシップSUVの「XC90」に乗ったからコンパクトに感じてしまった。全幅の差は60mmにすぎないが、全長は260mm、ホイールベースは120mm短い。数字で見ると大した違いではなさそうでも、運転してみると感覚はまるで違った。XC90のことは“現代のグランドツーリングカー”と表現したが、XC60はもっと生活に密着した性格のクルマである。特にリチャージプラグインハイブリッドモデルはEVとして普段使いするのがメインで、時にロングドライブを楽しむというライフスタイルに向いている。