小誌の28年の歴史の中で、特に人気なのがメンテナンス企画だ。何を着るか、どう着るか、の次に「どう保つか」がいま求められている。そこで3回にわたり、各アイテム毎に基本と応用を提示し、しっかりとケアする方法を解説する。2回目の今回は、パンツ編だ。
PANTS(パンツ)
パンツはクリース(折り目)の入り方ひとつで見栄えが激変。素早く、正確に入れるコツを知るために、プレスすべき場所の順序や、部位ごとの力加減等を覚えよう。
【基本編】クリース入れのスイートスポットを覚えよう
間違えればテカテカになる恐れも
クリース入れは、慣れてしまえば簡単だが最初は勇気のいるもの。洗濯表示を参考に、手持ちのパンツがどの温度でやるべきなのかをまずはしっかりと確認しよう。
STEP1 シーム同士を合わせて当て布で覆う
パンツの外側と内側のシームを中心で合わせると、自然と両端が適正なクリース位置に。当て布はできるだけ凹凸の少ない物が◎。
STEP2 [1]と[2]をプレス
前後のすねからプレス。スライドさせずスタンプするように押し当てるのが正解。※以降の写真はわかりやすいように当て布を外しています。
STEP3 [3]をプレス
裾を引っ張りSTEP1でプレスした裾のクリースとベルトループかプリーツが一直線でつながる位置にアイロンを当ててクリースを入れる。
STEP4 [4]のシワを取る
もも裏は立体的でクリースを入れるのが難しいうえ、せっかく入れてもすぐ消えてしまいがちなので、軽くシワを取るだけでOK。
【完璧編】素材が違えばメンテ法も違う!
「コットンパンツ」 動かさず、しっかりパンツを固定するのが肝要
パンツサイドの縫い目部分は、上からアイロンを圧着してしまうと、裏側の縫い代部分が表地にひびいてテカりが生じてしまう。そこで浮かせてスチームを吹きかけてシワを伸ばすが、当て布を当ててしまうとそのスチームの効果が弱まるので当てずに噴射。そして大事なのが、その後にパンツを動かさずに、熱が冷めるまで平らな台の上にしばらく置いておくこと。熱があるうちに動かすとシワになるので注意!
STEP1 まずはきちんと形を整え
STEP2 ぐっと押し付けるようにプレスする
STEP3 サイドシームはテカりやすいのでアイロンは当てない
STEP4 熱が冷めるまで、そのまま放置
「ウールフランネル」 アイロン前のひと仕事が仕上がりに響く
アイロンを当てる箇所ごとにパンツを動かしていると、直線部分の多いパンツはその度に生地がズレ、結果クリースが曲がってしまったりする。とにかく一度キレイにアイロン台の上に置いたら動かさないこと! 常にこのことを意識していればパンツのアイロンがけは失敗しない。特に高番手のウールパンツは、ゴシゴシとアイロンを動かしてしまうと悲惨なことになるのでご注意を。また、大きめのアイロン台を用意することも大事だ。
STEP1、2 裾の折り目をきちんと合わせ、上下の縫い目も合わせる
STEP3 クリース位置を確認し、しっかり固定
STEP4 アイロンは滑らさず、押し付けるようにかけていくこと!
STEP5 後ろの折り目は股十字の縫い目の延長線上で止める