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巣ごもりで人気の冷凍食品 本場フランス流の楽しみ方

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NIKKEI STYLE

ボンジュール! パリ在住ライターのユイじょりがお届けする「食の豆知識」。今回のテーマは、遠く離れた故郷の地、日本でアツイという噂の「冷凍食品」だ。「お弁当のおかず」や「軽食」といった脇役のイメージから、食卓の主役級にじわじわと存在感を高めていると聞く。

背景は、新型コロナウイルスまん延によるライフスタイルの変化。外出や外食する機会が減り、リモートワークが推奨されるようになった2020年の春以降、「簡単・便利」で何より「買い置きのできる」冷凍食品は、爆発的に需要が伸びた。

実際、日本冷凍食品協会が発表した2020年の家庭用冷凍食品国内工場出荷額(速報値)は、家庭用が業務用を初めて上回り、過去最高の3749億円(前年比18%増)をたたき出している。

冷凍食品ニーズの増加に伴い、スーパー各社の売り場にも大きな変化がみられる。

マルエツでは青果、鮮魚、精肉の各生鮮食品売り場に冷凍棚の設置を進め、生鮮食品そのものを冷凍して販売するのを売り物にしているほか、サミットでは冷凍食品と総菜の売り場を一体化させ、総菜コーナーの人気商品を冷凍でも展開し始めたのだという。(21年4月2日付日経MJ)

フランス発祥の「ピカール」 コンビニ並みに生活に浸透

この盛り上がりを知ったとき、真っ先に「Picard(ピカール)」のことが筆者の頭に浮かんだ。ピカールは、イオン傘下のイオンサヴール(東京・中央)が首都圏を中心に展開する「冷凍食品専門スーパーマーケット」で、東京の神楽坂や代官山といった「おしゃれ」スポットに進出し、人気を博している。実は、その発祥は筆者の住むフランスである。

日本で最初の冷凍事業の始まりは1920年だそうだが、ピカールの前身となる 「Les Glacieres de Fontainebleau(レ・グラシエール・ド・フォンテーヌブロー)」 の設立はさらにさかのぼり、1906年。以後ピカールへと形を変え、今日までフランスの冷凍食品業界を牽引し続けている。

フランス国内を中心に1000店舗以上を展開するピカール。規模でいうと、約1200店の牛丼チェーン吉野家の日本国内店舗数に匹敵しそうだが、フランスの人口は日本の約半分であることを考えると、この数はかなり多いのではないか。

ピカールは、原料の生産地から加工・販売まで一貫した管理体制を敷いており、「フランス人が好きな食品メーカー」では過去何度も1位を獲得している。特筆すべきは、1000種類以上の商品ラインアップだろう。店頭で販売されているのは、一部飲料などを除き冷凍食品のみ。野菜、魚、肉、フルーツ、パン、デザート、加工食品と、冷凍できるものであれば大抵なんでもあるのだ。

実際にどんなものが売られているのか、少し紹介しよう。

カット野菜は、スーパーの棚以上の品ぞろえだ。特にジャガイモは、カタログでジャガイモ関連商品を数えてみたらなんと30種類以上あった。玉ねぎひとつとっても、大きさや切り方の違いのほか、ビオ(有機商品)などもあって種類が豊富。様々な種類のハーブもそろう。

素材以外にも、かものコンフィやカスレ、チコリのグラタンといったフランス料理がお手軽価格で手に入る。栄養スコアはほとんどがA(優良)。ランチタイムにはこれを買い求める学生や社会人を多く見かける。

フランス人の日常に欠かせない「アペロ」向けの商品も豊富だ。アペロはアペリティフ(食前酒)の略だが、食事前に簡単なおつまみとともに乾杯をし、場を温める。実際、フランス人の友人宅でピカールのアペロ用つまみが出てきたことが何回もあるが、見栄えもよくおいしい。

デザート類も、ここはパティスリーか!?と思ってしまうほど豊富だ。

フレンチ以外にも、日本・中国・韓国・ベトナム・タイ・インド・レバノンなど、世界各国の料理が展開されている。棚を覗くだけで軽く世界旅行している気分になれてしまう。

ちなみに筆者が、内陸パリで生魚欠乏症になった時に重宝しているのが、ピカールの冷凍マグロとカツオ。こちらを解凍してヅケにしたりサッと焼いていただいたりすると、簡単に生魚チャージができる優れものだ。

冷凍で刺し身は? と最初はちゅうちょしたものだが、新鮮なうちに急速冷凍されているのでむしろアニサキスなどによる食中毒の心配は生魚を買ってくるより少ないのではと思っている。

「冷凍食品=手抜き=悪」という考えの薄いフランス

なお筆者は、ここ1カ月ほどパリを離れてフランス北部の田舎で過ごしていた。ジャガイモやパンばかりの生活に飽きてどうしても和食が食べたくなるものの、パリならばアジア系の食材店が豊富だが、田舎だとそうはいかない。でもGoogle mapで検索したらロードサイドにピカールがあった!まさに救世主!

おかげで枝豆・焼き鳥・ギョーザの「ピカール冷凍和食祭り」を開催することに成功。日本の方々がピカールでフランスの味を求めるのに、私はフランスで日本の味を求めているとはこれまた面白いなと思いながら、久しぶりの和テイストを満喫した。

コロナ禍においては、日本以上に外出制限が厳しかったここフランス。自宅への配達やクリック&コレクト(あらかじめネット等で注文しておき店頭で受け取る)が台頭したこともあり、冷凍食品市場は大きな伸びを見せた。

だがコロナ禍前から、冷凍食品はフランス人の日常にとても身近だったのだ。その理由は、共働き世帯がもともと多いことに加え、一般的にフランスの日常の食卓はいたってシンプルなこと(日本の「一汁三菜」のようにおかずが複数ならぶようなことはほぼない)など様々な要因が考えられそうだが、一番は「手作りこそ愛情」や「手抜きは悪」といった概念が日本ほど強くないからなのでは、と個人的には思っている。

フランスでは、食事を作る「手間」や食事の「内容」よりも、大切な人たちと食卓を共にする「時間」により価値を置いているように感じるのだ。

コロナがきっかけ? 冷凍ギョーザが大人気の日本

日本でもコロナ禍をきっかけに、冷凍食品に対する捉え方が変わりつつあるのではないか。その変化の象徴が、「冷凍ギョーザ」だ。日本冷凍食品協会が今年の2月に行った調査によると、1年前に比べ利用頻度が増えた冷凍食品は男女ともに「ギョーザ」が1位、約4割を占めた。

「当社調べによると、これまで冷凍食品のファーストエントリーメニューは冷凍うどんでしたが、2020年に冷凍ギョーザに変わりました。冷凍ギョーザ市場も10年度から20年度の期間で、約2倍に膨れ上がりました」

こう教えてくれたのは、味の素冷凍食品(東京・中央)の担当者。同社の「ギョーザ」は、03年より18年連続売上日本一を誇るロングセラー商品で、年間1億パック以上を売り上げている。

昨今の冷凍ギョーザ人気を、同社はこう捉える。これまで冷凍食品を「手抜き」だと感じていた生活者も、フライパンでひと手間かける冷凍餃子を初めて使用したことをきっかけに、冷凍食品を前向きにとらえるようになったのではと。簡単・手軽ではあるが、フライパンで焼くという「ひと手間」が必要なところが、かえって今まで冷凍食品を使うことをちゅうちょしていた層にも響いたのだろう。

そこで同社は多様化する冷凍ギョーザへのニーズに対応できるよう、この8月よりさらにラインアップを強化し、自宅で本格的な専門店品質を味わえる「黒豚大餃子」などを新発売する。また、「誰でも手軽に・食べたいときにすぐ食べられる」ニーズにも対応すべく今年2月に発売した「レンジで焼きギョーザ」は、レンジ調理なのに焼き目が香ばしく、ジューシーな味わいのギョーザが食べられると好評で、地域限定から全国発売に切り替えるという。

ちなみに、フランスでも味の素の冷凍Gyozaは大人気だ。当地ではギョーザのことをその形から「Ravioli(ラビオリ)」と呼ぶのが一般的だが、同社によれば、「日本の食文化を世界に広げていきたい」という思いのもと、欧州でも「Gyoza」の名称で発売したのだという。

「『Gyoza』は現地の料理雑誌でグランプリを受賞するなど、日本式ギョーザ(焼きギョーザ)のパリッとした皮の食感と中身のジューシーなおいしさがフランスでも認められています。最近では『Beef Gyoza』(家庭用)や『Katsu-curry Gyoza』(業務用)が、その目新しさと圧倒的なおいしさで高く評価されています」。(同社担当者)

ビーフにカツカレーのGyoza!? これまた気になって仕方ないが、筆者が以前店頭で発見して驚いたのが、「Apple Gyoza」。同社によれば、欧州の嗜好・文化の背景を基に開発された製品で、ベジタリアンの人々にも人気なのだとか。フランスでもGyozaがSushi(すし)やYakitori(焼き鳥)のような地位に並ぶ日がくることを筆者はひそかに願っている。

冷凍食品の活用は手抜きではなく「手間抜き」

ところで、昨年の秋頃、SNSを中心に話題になった「ポテサラ論争」があったが、それに続く「冷凍ギョーザ論争」をご存じだろうか。

ポテサラ論争とは、ポテトサラダを買おうとした子供連れの女性が「母親ならポテトサラダくらいつくったらどうだ」と男性から言われるのを目撃した、というつぶやきに端を発するものだ。

対して冷凍ギョーザ論争は、「夕食に冷凍ギョーザを出したら、子どもは喜んだけど、旦那に『手抜き』と言われた」というツイートから始まったものだが、当該ツイートに対して同社はこう切り返した。手抜きでなく、「手間抜きですよ」と。

「日本ではまだまだ『冷凍食品=手抜き』との認識が多く、手作り信仰の強い日本の文化の中では、冷凍食品の本質的な機能が認められていないなと感じました。冷凍食品を使う事は、時間の創出であって、愛情がそがれるものではないのです」(同社担当者)

先日発表された、ネット旅行予約大手の米エクスペディアが世界12地域1万5千人を対象に実施した調査によれば、日本人は休暇を取ることで「毎日の料理から解放されたい」と思う割合が一番高かったという。ちなみにフランス人は突出して「毎日同じ道を歩くこと」から解放されることを望むとのこと。おのおのの国事情がよく現れた結果だなと感じる。

何に重きを置くかは人それぞれ。ギョーザを皮からつくり、包丁を両手で握りX JAPANのYOSHIKIのドラムさばきばりに自ら豚肉をミンチにする筆者のような「料理バカ」がいてもいいし、その時間を自らの趣味や家族とのだんらんにあてたっていい。誰にでも平等にある限られた「時間」をどう充実させるか、冷凍食品にそのヒントが隠されているのかもしれない。

※本文中のアルファベットの特殊記号は記載していません

パリ在住ライター ユイじょり

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