「1600年関ケ原」はパスワードに使ってはダメ
しかし、いくら長くても誰もが思い付くフレーズでは意味がない。すでに誰かが使っていて、それが漏洩している危険があるからだ(図5)。歴史的事件、ことわざ、ありがちなフレーズなどをそのまま使うことは避けたい。

もっとも、パスワードを覚えるのを諦めるなら作成は容易だ。パスワードを自動生成するウェブサービスを使えばよい。ID管理アプリで有名なLastPass(ラストパス)のサイトでは、条件を設定するだけで強いパスワードを自動生成できる(図6)。

自動生成でも自分のオリジナルでも、銀行系パスワードは万一の失念に備えて手帳に記録しておこう。その際はサービス名とID、パスワードを別々に保管すると安全性が高まる(図7)。

ところで、以前はウェブサービス側にパスワードの定期的な変更を促されることが多かったが、最近はめったにない。というのは、変更を強要すると覚えるのが大変になることから、次第に弱いパスワードを使うようになる傾向があるとわかってきたからだ(図8)。強いパスワードを一度作ってそれを使い続けるのが最近の定石だ。

(ライター 岡野幸治)
[日経PC21 2021年9月号掲載記事を再構成]