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ポッキーは商品のバリエーションを広げ続けている(中央は基本のチョコレート味)

ポッキーは商品のバリエーションを広げ続けている(中央は基本のチョコレート味)

2022年に創業100周年を迎える江崎グリコ。「プリッツ」や「ビスコ」「アイスの実」「プッチンプリン」など、著名な商品が多いが、「売り上げ世界一」のギネス世界記録を持つのはチョコレート菓子の「ポッキー」だ。1966年の発売から55年、累計で100億箱以上を売り上げてきた看板菓子は、商品の入れ替わりが激しい菓子業界で、なぜ半世紀にもわたって支持され続けるのだろうか。

「ポッキー」は1年間(2019年)に世界で最も売れた「チョコレートコーティングされたビスケットブランド」として20年、ギネス世界記録に認定された。世界の推定売上高はこの時点で5億8990万ドル(約620億円)だった。ポッキーは中国やシンガポール、米国など30の国と地域で販売されているグローバル商品だ。

ポッキーの誕生は1966年にさかのぼる。開発のきっかけをつくったのは、創業者で当時社長だった江崎利一氏。すでに発売されていたキャラメル「グリコ」やビスケット「ビスコ」に続くヒット商品を開発するよう、みずから号令をかけた。

同社はその名の通り、戦前の21年に発売した「グリコ」が創業の品だ。栄養素のグリコーゲンを含むカキの煮汁を、当時流行していたキャラメルに投入。嗜好品の菓子と、健康を支える栄養成分はそれまで別物と考えられてきたが、江崎氏はそれらをあえて融合させ、「栄養菓子」という新しいジャンルを生み出した。ビスコもこの系譜に連なる。

戦後に生まれたポッキーは、同社にとって、創業時に続く第2のイノベーションの担い手といえる商品だ。60年代の国内市場では、チョコレートといえば、シンプルな「板チョコ」が常識だった。細長い棒状であり、しかもチョコレートとプレッツェルという別の菓子を組み合わせるポッキーのアイデアは、当時としてはかなり斬新なものだった。「チョコスナック」という新ジャンルの旗手となった。

江崎グリコのマーケティング担当、槌田智子氏

江崎グリコのマーケティング担当、槌田智子氏

着想の経緯を、現在の同社マーケティング担当、槌田智子氏は次のように語る。

「欧米ではすでに、濃厚な味わいの板チョコとは一線を画す、軽いスナック感覚で食べられるチョコレートの人気が上昇していました。戦後の高度経済成長期、海外の菓子市場のトレンドを取り入れ始めた当社では、先行して発売した『プリッツ』がヒット。ドイツでおつまみとして親しまれていたプレッツェルを日本向けにアレンジしたもので、棒状で持ちやすく、1本ずつ皆で分け合いながら食べられる点が支持されていました」

「プリッツをチョコレートでコーティングしてみてはどうかと思いついたのがポッキーの原点です。ともに現在も当社の主力商品であるプリッツとポッキーは、いわば兄弟のような関係なのです」

カリッとした食感に焼き上げたプレッツェルと、まろやかな口当たりのチョコレート。味わいとしての掛け算効果は見込み通りだった。しかし、商品化に至るまでには思わぬハードルにも直面した。

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