高見沢 僕個人としては、ツアーができなかった期間、言葉や題材の選び方などで多くの学びがありました。とくにこの半年は、小説を書いたり、日本経済新聞でコラムを連載したり(夕刊掲載の「あすへの話題」)と、執筆が多かったことが大きかった。歌詞は、自分の姿を知っている人たちに向けて書きますが、新聞は自分を知らない人が読む前提で書きます。これまでも3人分の気持ちをつづってきたので、客観的に書いてきたつもりでしたが、より俯瞰(ふかん)で見て書けるようになってきたんじゃないかと。知らない人にも少しはアルフィーを知ってもらいたいという気持ちが働きますし、どう伝えればいいか気を使うようになり、語彙が増えたと感じますね。それに新聞を読むと、関心がなかった情報も目に入ってくる。日本や世界情勢を知るにつけ「どうなってんだ?」と疑問を感じることが増えましたね。その、「どうなんだ」から始まるもの、そこにも歌詞は影響を受けている気がします。

――今回の『The 2nd Life -第二の選択-』は、まさにそういう視点から生まれた?

高見沢 ええ。コロナによって、当たり前のことが当たり前でなくなった世界になりましたからね。早く普通の日常を取り戻したいと誰もが思っているし、そうありたいと願っている。そういう方たちの、背中を押せるような楽曲になればいいなと思っています。今後も活動を続けるうえで、決してコンサートは不要不急ではないと証明させたいものですね。そのためにも新曲を作って出し続ける。それが現役ミュージシャンのプライドかもしれません。

――コロナ禍で、配信番組『Come on! ALFEE!!』を新たにスタートしたことも、そういった思いからですか?(『Come on! ALFEE!!』はメンバー3人が毎回テーマを決めてトークを繰り広げる有料配信番組。すでにシーズン2まで配信されている)

坂崎 大正解! ライブができない自分たちが、いまできることはなにかと考えた1つの試作です。

配信番組はライブ再開後も続けていこうと

高見沢 無観客ライブも何度かやりましたが、それではもの足りなさを感じて、音楽以外でできることは何かと考えたとき、あっ、3人ともしゃべれる(笑)。そこでそういう配信番組を始めた次第です。

坂崎 僕らが楽屋で話しているようなことを形にしてみようというのが、コンセプトの1つです。桜井が「回転寿司に行ったことがない」というから、じゃあ行ってみようとか。

桜井 「ビールを飲ませてやるから行こう」と誘われたのに、スタッフから「条例違反になるからダメ」と言われて飲ませてもらえなかったんですよ。ノンアルコールビールでも、結構テンション上がりましたけど(笑)。

坂崎 かつてはばかばかしい話って、深夜放送のラジオとかで聴けましたよね。それを映像付きでやってる感じかなと。そこが面白さにつながっているのかもしれません。

高見沢 僕は普通にやっているだけだけどね。

坂崎 普通にやって面白いですから、高見沢さんは(笑)。僕と桜井は以前から、いまでいう、YouTuberみたいに、「高見沢を24時間カメラで追ったら絶対に面白い」と話していたんです。アクリル板があると分かってるはずなのに、何回もぶつかったり。そういうのを、ファンの方は喜んでくださるんですよ。

桜井 日本酒を飲んでいて、一升瓶の口に指を入れて遊んでいたら抜けなくなっちゃうとか、エピソードにはこと欠かない。こんな面白いことするのって驚くレベルですよ(笑)。

坂崎 そういう素が見える部分と、撮り下ろしのライブを毎回入れるようにしています。ライブをなかなか見られない地方の方にも、一番新しい映像を見ていただける。たくさんの方に、喜んでいただけているようでほっとしています。

高見沢 ですから、ツアーが平常に戻っても、これからも配信番組は続けていこうと思っています。

――先を見通すのが難しい状況ではありますが、節目となる70枚目のシングルをリリースし、その先にTHE ALFEEは何を目指すのでしょうか?

高見沢 改めて70枚目と聞くと、感慨深いですね。僕らより先に、古希を迎えたのかと(笑)。目下の目標として、まずは有観客のライブをやりたいですね。

坂崎 4度目の緊急事態宣言が出されたことを受け、夏のライブも中止を決めました。開催に関していろんなご意見がありますので、そういう間は難しいなというのが僕らの考えなんです。ただ、いつでもライブができるように準備をしてしっかりと整えておくことはやめませんよ。そうやってちょっとずつ進めていきたいですね。

THE ALFEE
ジ・アルフィー メンバーは、桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦。1974年、『夏しぐれ』でデビュー。当時はフォーク色が濃いサウンドだった。地道にコンサートを積み重ね動員を増やす。83年、『メリーアン』が大ヒットし、同年末に『紅白歌合戦』への出場を決めた。年に2回の全国ツアーと野外イベントライブを恒例としており、日本のバンドで、コンサート通算2776回(2020年8月25日現在)は国内最多記録を更新中。
『The 2nd Life -第二の選択-』
通算70枚目となるシングル。表題曲は、コロナ禍で感じた想いを受け止めた前向きなメッセージソング。優しく語りかけるように歌い出し、次第にドラマチックで厚みのあるバンドサウンドへと展開。3人の艶やかで生き生きした歌声とハーモニーに励まされる。カップリング曲は『光と影のRegret』と『My Truth(俺たちの武道館 2020 Live Ver.)』 ユニバーサルミュージック

(ライター 橘川有子)

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