自分ができないことを相手はできる

――お互いを信頼しているから任せられる。いつ頃から、そう思えるようになりましたか?

坂崎 デジタル化され、それぞれのパートをばらばらに録れるようになって、いろいろ変わったかもしれませんね。アナログの時代は、「せーの」で録ることが多かった。80年代、90年代は1つじゃ足りないから、スタジオを3つ借りたりして。

桜井 今以上にツアーも相当回っていたし、スタジオを3カ月借り切って、高見沢はそこで寝起きしているような感じだったね。

高見沢 ただ個別に録れるようになったとはいえ、そこは信頼関係がないとやはり難しいですよ。僕らは学生の友人からスタートし、そこからプロになっていることも大きいかもしれません。

──デビューからまもなく50年。同じメンバーで仕事を続けてこられた秘訣は?

高見沢 ここまで長く一緒にやってこられたのは、単純に言えば、自分にはできないことが相手にはできると認めているから。認め合えるからこそ、バンドサウンドは成り立つわけだし。

坂崎 そうだよな。でも成功すると1人でできると思っちゃうのかなぁ?

桜井 俺らはもめるほどお金が入ってこなかったから、こうして続けてます(笑)。俺はこれしかできないし、決して1人じゃできないからな。

高見沢 1人より2、3人のほうが断然いい。居心地も良いし楽です。ストレスをため込んじゃうと、人間ってしんどいじゃないですか。1人でいるより、3人のほうがまぎれます。

坂崎 今は起業する若い人が増えましたよね。夢をもって始めるってすごいことだと思うんですよ。でも、そのときは同じ気持ちでのスタートだったはずなのに、いつしかでこぼこになってしまうことがあるのかなと。

高見沢 僕らもスタートアップみたいなもの(笑)。「俺が、俺が」という気持ちが出過ぎるとぶつかってしまう。「こっちのほうが優れているのに、なぜあいつが社長なんだ」みたいに不平不満があると続かない。「あいつがいないと成り立たない」という関係性が築けるかどうかでしょうね。

ツアーが健康の元だった

――1年半ツアーに出られないという初の経験から、ほかにどんなことを感じましたか?

桜井 ツアーは健康の元だと思い知らされました。僕らはこれまで、2700本以上のライブをやり続けてきたのに、そこがバンと断ち切られた。生活のリズムはライブを中心に作られていたので、(コンサート開演時間となる)夕方6時くらいに一番パワーが出せるように整えていたんですよ。1週間で使った筋肉も2週間で衰えるじゃないけど、毎年春と秋に全国ツアーを行い、人前で演奏し歌うってすごいことなんだとつくづく思いましたね。

坂崎 去年1年は特にそう感じました。血流が悪くなったせいか筋肉も落ち、めまいまで。ツアーでは1、2時間のリハーサルをして、3時間のライブをします。約5時間ずっと立って演奏し、歌って、さらに移動で結構歩いたり階段の上り下りもします。知らないうちにツアーが日常にすごく影響していたんだなと気づかされましたね。

――企業を取材していると、コロナ禍で増えたリモートワークでも、健康管理がより重視されるようになったという声を聞きます。

坂崎 皆さん同様に、何とかしなきゃと僕も思いました。高見沢さんは日ごろからワークアウトしてるけど、いざ何かしようと思ったら意外とできないものですね。実際、屋上で縄跳びもやってみたけど……。

高見沢 どれくらいやった?

坂崎 2日(笑)。足首がめっちゃ痛くて、驚いた。

全員 (爆笑)

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