ソニー再生の物語 平井前社長が語るリーダーの基本紀伊国屋書店大手町ビル店

版元別にビジネス書の新刊を並べた面陳列棚に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)
版元別にビジネス書の新刊を並べた面陳列棚に展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。店を訪れる顧客は目的買いのビジネスパーソンが多く、ふらっと立ち寄る顧客が戻ってきていないという。このため自己啓発書や一般向けのビジネス書が売れ筋の上位に顔を出さなくなっている。そんな中、書店員が注目するのは、ソニー前社長が自らソニーの復活について語り、リーダーとしての哲学を明かした一冊だった。

どうやって復活させたか

その本は平井一夫『ソニー再生』(日本経済新聞出版)。副題には〈変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」〉とある。著者の平井氏はソニーグループのシニアアドバイザー。言わずと知れたソニーの前社長だ。2012年、4年連続の赤字だったソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任、退任する18年までに営業利益で過去最高益を更新するところまで業績を回復させた。まさにソニー復活の立役者だ。

「どうやってソニーを復活させたんですか?」。トップを退いてから3年ほどたつ最近でも、こんな質問をよく受けるという。その疑問に答えることを一つの目的として書かれたのが本書だ。

「はじめに」で著者はいう。「戦術や戦略といった施策ももちろん重要ですが、それだけでは組織をよみがえらせることはできないのです」。では、何をやってきたのか。「自信を喪失し、実力を発揮できなくなった社員たちの心の奥底に隠された『情熱のマグマ』を解き放ち、チームとしての力を最大限に引き出すこと」。これを愚直にやり通してきたことが、組織の再生につながったという。そして、困難に立ち向かうには「EQ(心の知能指数)の高さが求められる」と書きつける。そのことを経営者のみならず、すべての「リーダーたち」に理解してもらいたいと語りかける。

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