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前向きにリハビリに取り組み、社会復帰を果たす

最後に女優の河合美智子さんと夫の峯村純一さんが登場し、木村さんを交えてトークセッション「体験談からわかる脳卒中」が行われた。

脳卒中の体験を語る河合美智子さんと峯村純一さん

河合さんが脳出血を起こしたのは2016年8月13日のこと。まだ50歳にもなっていなかった。映画のリハーサル見学中、立ち上がろうとしたら右脚が動かない。やがて右腕も動かなくなり、周囲の人が救急車を呼んだ。最初は軽く考えていた河合さんだが、救急車に乗せられたときには、ろれつも回らなくなっていたという。

リハビリは「早ければ早いほどいい」と言われ、入院4日目に理学療法士がやって来た。言葉は1週間程度で回復したが、最初は右半身がまったく動かない。木村さんによると「そのため、半分くらいの人はうつになってしまう」という。

ところが、河合さんはあくまでもポジティブだった。「昔とは違うんだ」「ゼロに戻っただけ」と開き直ると、やればやるだけ結果が出るリハビリは「楽しかった」と振り返る。今も少しマヒが残っているというが、明るく話す様子からはまったく気づかない。

「元気だった頃の自分や他人と比べても落ち込むだけでしょう。不自由になった自分を楽しみ、今まで経験できなかったことを経験できると思えば、リハビリも苦にならない。リハビリも楽しくやったほうが効果があると思うんですよ」(河合さん)

現在は医療も進み、脳卒中を起こしても河合さんのように社会復帰を果たす人も増えている。発症した場合はすぐに医療機関に行き、積極的にリハビリに励むことで回復度も変わってくるのだろう。

とはいえ、やはり脳卒中は怖い病気。ならないに越したことはない。運動、食事、禁煙、検脈、そして薬――。できることをしっかり行い、できるだけ避けたいものだ。

(文 伊藤和弘、グラフ制作 増田真一)

[日経Gooday2020年7月19日付記事を再構成]

木村和美さん
日本医科大学大学院医学研究科 神経内科学分野 大学院教授。1986年、熊本大学医学部卒業。国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)内科脳血管部門、豪メルボルン大学神経内科、川崎医科大学教授などを経て、2014年から現職。専門は脳神経内科、特に脳卒中の診断と急性期の治療。日本神経学会理事、日本脳卒中学会理事。
家光素行さん
立命館大学スポーツ健康科学部 教授。1996年、川崎医療福祉大学医療技術学部卒業。2003年、筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、国立健康・栄養研究所身体活動研究部客員研究員などを経て、2010年に立命館大学准教授に就任。2014年から現職。
河合美智子さん
女優。多くの映画・ドラマに出演。NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』(1996~97年)で演じた「オーロラ輝子」として、97年の『NHK紅白歌合戦』にも出場した。2016年に脳出血を発症し、救急搬送。2017年に退院し、女優に復帰。「脳卒中サバイバー」として講演も行う。

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