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ナキウサギ、驚き越冬術 極寒は他の動物のアレ食べる

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

気温が低く食料がとぼしい土地に冬がやってくると、動物たちは移動したり、冬眠したりしてやり過ごすものだ。しかし、中国北西部の青海チベット高原にすむクチグロナキウサギ(Ochotona curzoniae)は、どちらの戦略もとらない。

クチグロナキウサギが暮らす寒風ふきすさぶ草原は、冬になると日常的に気温がマイナスセ氏30度を下回り、植物もしなびてしまう。寒冷地で暮らすほかの動物とは異なり、ナキウサギは余分な脂肪をため込まず、冬に体重は増えず、寒い時期を眠って過ごすこともない。

彼らが厳しい冬をどのように生き延びるのかは長年の謎とされてきたが、13年間におよぶ研究の末、その秘密が明らかになり、2021年7月19日付で学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に論文が発表された。クチグロナキウサギは冬の間におよそ30%も代謝を低下させるうえ、通常の食事である植物に加えて、貴重な未消化の栄養分を含むヤクの糞(ふん)を食べているのだという。

この戦略の前半部分は理にかなっている。代謝が下がれば、1日に必要なカロリーが減るからだ。しかし、後半は意外だったと研究者らは言う。

「最初は、ナキウサギがヤクの糞を食べているという説を唱えても、だれも信じてくれませんでした」。英スコットランド、アバディーン大学の生理学者で研究リーダーのジョン・スピークマン氏はそう語る。

「しかし蓄積された証拠は、もはや議論の余地のないものです」

ウサギやゾウ、チンパンジーなど、自分の糞を食べる動物は決して少なくない。ナキウサギもそうだ。しかし、別の種の糞を食べるこうした行動は「種間食糞」と呼ばれ、脊椎動物としては非常に珍しい。

スピークマン氏によると、ヤクの糞は豊富に存在し、苦労せずに手に入る食料と考えられるため、クチグロナキウサギはエネルギーを節約でき、またハヤブサやチベットスナギツネといった捕食者からも身を隠していられるのだという。

腸内細菌叢も変わる

09年、スピークマン氏はクチグロナキウサギの巣穴の中で食べかけのヤクの糞を見つけ、興味をひかれた。「それをきっかけに、これは奇妙だ、ナキウサギはもしかするとヤクの糞を食べているのかもしれないと考えるようになったんです」。その1年後、偶然わなにかかって死んだ2匹のクチグロナキウサギの腸内を分析したところ、はたしてヤクの糞があった。

この説を証明するため、18~19年に別の研究で収集されたクチグロナキウサギ300匹以上の腸の内容物を分析してみると、サンプルの約22%にヤクのDNAが含まれていた。糞が日光にさらされるとDNAは分解するので、この数字はおそらく内容物の実際の割合よりも低いだろうと、スピークマン氏は言う。

また別の実験からは、冬の間、クチグロナキウサギの腸内細菌叢(そう)の構成がヤクに似ることもわかった。これは、クチグロナキウサギがヤクの糞から有益な細菌を取り入れている可能性を示唆している。

17年と18年、科学者らは手持ちビデオカメラで、クチグロナキウサギがヤクの糞を食べているところを、別々のタイミングで4回撮影した。こうした多様な証拠を総合すれば、ナキウサギの種間食糞は明らかだと思われる。

種間食糞が行われているのであれば、ヤクが生息しているエリアにクチグロナキウサギが多い傾向ともつじつまがあう。畜産農家は、クチグロナキウサギを家畜の食料を奪い合う直接的な競合相手と認識し、何百万匹を毒殺しているとスピークマン氏は言う。

「しかし、状況は変わりつつあり、最近ではクチグロナキウサギの頭数コントロールにおいては、ほかの生物への影響が少ない避妊薬の使用が検討されています」

アメリカナキウサギも?

「30年間にわたり、わたしはナキウサギについての講演を続け、アメリカナキウサギが自分でため込む干し草と一緒にマーモットの糞を集めているという話をしてきました。聞き手の中に、その理由を知っている人がいることを期待していたんです」と言うのは、米コロラド大学ボルダー校の定量生態学者クリス・レイ氏だ。

今のところ、アメリカナキウサギについて、クチグロナキウサギの種間食糞に相当するような証拠はない。しかし、今回の研究は、アメリカナキウサギにとってマーモットの糞が重要であるという可能性についての思考を「大いに刺激してくれた」と、レイ氏は言う。アメリカナキウサギは、上昇する気温のせいで米国西部全域で減少傾向にある。

「わたしはロッキー山脈の高地に住んでいるので、一部のナキウサギが暮らす土地の冬がどれだけ寒いかよく知っています。彼らがどうやって生き延びているのかについては、これまでほんとうに不思議に思ってきたんです」

(文 JASON BITTEL、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年7月22日付]

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