――一方で、いくら情熱を持って取り組んでも、顧客に支持されなければ軌道には乗りません。

その通りです。意志の次に重要なのが、「顧客視点から考える」ことだと思います。既にモノやサービスがあふれている今の社会では、自分が提供したいモノやサービスより、求められているものを売る方が圧倒的に成功する確率が高い。「そんなの当たり前だ」と思うかもしれませんが、顧客視点を貫き通せている事業は実は多くありません。最初は顧客視点で考えた事業であっても、コストなど様々な制約の下で展開していくうちに、いつの間にか顧客が求めている本質とズレてしまうのです。

――本書では、事業を失敗へと導く行動や姿勢を「7つの大罪」として紹介しています。新規事業に限らず、組織での仕事に当てはまる要素も多分にあると感じました。

30年間の起業人生で、僕がしてきた数え切れない失敗から得た貴重な教訓です(笑)。これから起業する人に参考にしてほしいと思う半面、失敗はどんどんした方がいいとも思っています。失敗には、未来の成功のヒントが詰まっているからです。

一方で、挑戦を続けるためには、致命傷を負わないことも重要です。「このぐらいの失敗なら大丈夫、なんとか立て直せる」という、許容ラインをあらかじめ想定しておくことで、そこに至らない限りは全力投球できます。これは起業家の生存戦略として、とても重要なことだと思っています。

――許容ラインはどのように決めればいいのでしょうか。

許容度は人によっても事業によっても違うので自分で考えるしかないのですが、イメージがつかない、ということであれば、事業の進捗を見直す「関所」を細かく設定することをお勧めします。後戻りできないところまで進んで、撤退か玉砕かの勝負に出るのではなく、「あれっ?」と思ったらすぐに立ち戻ってもう一度進み直すことができる、そんな関所を設定する。関所の度に、進み、見直し、進み直す――を繰り返すことで、想定外の失敗で深手を負い過ぎるのを避けることができるのです。

――エンジェル投資家としても活躍されていますが、投資先を選定する時のポイントは?

僕の場合は、自分の頭の中にこういう事業をやりたい、こういう事業が必要だというアイデアがたくさんあります。なので、そのコンセプトに合った事業で、かつ最後までやり切ってくれると思える人に投資します。

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