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ルノー・カングー 最後の現行仕様はディーゼルモデル

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webCG

長く愛されてきた2代目「ルノー・カングー」の最終ロットがいよいよ日本上陸。しかもその中身は、最後にして最初となるディーゼルエンジン搭載モデルである。そしてこの希少な初物では、カングーの美点がガソリンモデル以上に味わえるのだからたまらない。

上陸がこのタイミングとなった理由

カングーといえば本国ではすでに次期型が発表されているわけで、今回のディーゼルモデルの国内発売には多くのファンが驚いたことだろう。ちなみに今回のディーゼルは"追加"ではなく、400台の"限定発売"となる。

というのも、現行2代目カングー本来のカタログモデルだった1.2リッターガソリン車はすでに生産が終了しており、現在は市中在庫のみとなっているからだ。しかも、今回の日本向けディーゼル400台が、仏モブージュ工場における現行乗用車仕様の最後の生産だそうである。つまり、これが日本に輸入される最後の2代目カングーであり、"継続"も"おかわり"もあり得ないという。

そんな正真正銘のファイナルモデルが、まさかの日本初上陸ディーゼル……というサプライズ。知ってのとおり、カングーは商用車としての顔ももっており、地元欧州での販売は大半がディーゼルである。よって、筋金入りのファンは「カングーはディーゼルこそ本来の姿」という思いをずっと抱いてきた。なのに、この購入直後に旧型になること確定のタイミングでのディーゼル発売となれば、ネットかいわいに「いまさら?」「遅すぎ!」の声も見られるのも自然なことだろう。

ただ、国内インポーターのルノー・ジャポンも、もったいぶってカングーのディーゼルを輸入しなかったわけではない。それどころか、カングーのディーゼル導入については常に模索していた。しかし、2代目カングーのディーゼルがそもそも旧来の「ユーロ5」を想定した設計であり、日本の排ガス規制を通すのは事実上不可能な状態が長らく続いていたという。

転機が訪れたのは2018年だ。年々厳格化される欧州の排ガス規制に合わせて、カングーのディーゼル排ガス処理システムにも、ついに最新の尿素SCRが導入された。カングー ディーゼルの日本導入計画はここからスタートするのだが、日本仕様への適合に予想以上の時間がかかってしまったらしい。

スペシャル感はほどほど

「ディーゼルMTは、現地でもっともポピュラーなカングー。そんなもっともカングーらしい仕様を最後にお届けします」というのがルノー・ジャポンの公式見解である。ただ、今回については本来もっと早くにカタログモデルとして追加するつもりだったが、結果的にギリギリのタイミングになってしまった……というのが現実のようだ。当事者としては、いまさらどころではなく、「なんとか間に合った!」というのが本音なのではないか。そう指摘すると、ルノー・ジャポンの担当者はうなずきはしなかったが、明確に否定もしなかった。

なにはともあれ、こうして上陸したカングー ディーゼルだが、クルマそのものは欧州で以前から普通に用意されてきた量産型カングー(乗用最終モデル)である。シート表皮などのトリムグレードも最終期のカタログモデルと同じものだ。日本ではサプライズ的な限定車とはいえ、日本架装部品である「LIMITED」のサイドバッジ以外、その内外装に特別変わったところはない。

従来のカタログモデルと比較すると、LEDデイタイムライトとバックソナー、むき出しのスチールホイールが今回の特別装備となっている。だが、どれも本国ではオプション(あるいは標準)設定される通常装備であり、これまで無数に(笑)発売されてきた国内向けの限定車でも前例のあるアイテムばかりである。

本国のカングーには、モデルライフを通じて3種類のディーゼルが用意されていた。エンジン自体はすべて共通の1.5リッター4気筒SOHCの「K9K」型なのだが、出力チューンに応じてモデル末期は「dCi80」、「dCi95」「dCi115」というラインナップとなっていた。2ペダル変速機との組み合わせは存在せず、80と95が5段MT、115が6段MTの設定である。というわけで、今回国内発売となったディーゼルは116PSという最高出力や変速機の設定からお気づきのように、本国でdCi115と呼ばれるもっともパワフルな仕様となる。技術的にはこの116PS版エンジンのみ可変ジオメトリーターボを備える。

明らかになるメーター盤面の秘密

今回の試乗車も、運転席に収まってしまえば、良くも悪くも見慣れたカングーそのものだ。6段MTのシフトレバーも、1.2リッターガソリンのものと同じである。さらにいうと、メーターパネルの眺めも、ディーゼルと従来のガソリンとでまったく変わりない。

1.2リッターガソリンは6500rpmまで回ったのだが、メーターのレッドゾーン表示は5000rpmから敷かれていた。今回のディーゼルはきっちり5000rpmでレブリミッターが作動するので、もともとがディーゼル用のメーターをガソリンにも流用していた……というのが、2代目カングーの真実である。1500~2250rpmに描かれる特徴的な「ECO」というゾーンもディーゼルとガソリンで共通だが、これもどちらかといえばディーゼルのほうがよりピッタリの気がする。このあたりもディーゼル=本来のカングーといわれる由縁かもしれないが、これだけガソリンカングーを大量購入してきた日本としては「メーターの盤面デザインくらい、ガソリン用に起こしてくれてもバチは当たらんぞ!」と思わなくもない。

このように日本でも全車MTとなるカングー ディーゼルだが、扱いやすさには文句はない。シフトレバーはステアリングからそのまま手を下ろした位置に、涙が出るほどドンピシャのカタチで屹立(きつりつ)している。シフトフィールは「メガーヌR.S.」のそれに負けず劣らず剛性感がある。ルノーらしく比較的奥側にあるクラッチミートポイントも、当初は少しだけエンストしやすく思うかもしれないが、ごく低回転からねばるディーゼルの特性もあり、慣れてしまうと逆に素早く小気味いい変速がやりやすい。

変速はこまめに

ルノーと日産で共同開発されたK9K型は、改良の手が入っているとはいっても、基本は2001年から生産されている古参ディーゼルである。それもあってか、エンジン単体の印象でいうと、たとえばグループPSAの同等エンジンより特別にパワフルでも静かでもない。良くも悪くも平均的な性能といっていい。

きっちりと力を発揮しだすのは2000rpm以上で、おいしい領域は2500~4000rpmくらい。4000rpm以上でアタマ打ちなのはディーゼルだから当然としても、2000rpmより下で意外に線が細く感じるのは設計年次によるところが大きいかもしれない。実際に乗ったときのリアルな動力性能にしても、おなじみの1.2リッターガソリンと比較して、全域で力強いわけでもない。市街地などでの低回転域のピックアップはもちろんディーゼル優勢だが、高速道路に乗り入れると、ガソリンのほうが明らかに力強く伸びていく。

そんなルノーの1.5リッターディーゼルのうま味を引き出すには、ガソリンほど頻繁ではないにしても、サボらずに適切なギアを選んでいく作業が不可欠となる。ただ、カングーのMTは前記のように、そのレバーとクラッチの操作感にいたるまで、変速という作業そのものを楽しめるタイプである。そこにストレスはまるでない。

回すと素直に"らしい"エンジン音が響きわたるカングー ディーゼルは、騒がしいというほどではないが、静かなクルマでもない。ただ、高速道路に乗り入れて一定速での巡航状態になると、エンジンはとたんに静かになる。さらに、それなりに聞こえてくるロードノイズもカバーの役目を担う(笑)ので、高速では意外なほどディーゼルの音は気にならない。

やはり歴史的名作

それにしても、カングーの卓越したシャシー性能はディーゼルでも健在だ。ひさびさに高速で味わうカングーは相変わらず、身体がとろけそうになるほど快適なフラットライドで、路面の凹凸をしなやかに吸収しながらも、無駄な上下動はほとんどない。直進性も感心するほど高く、車両感覚もすこぶる把握しやすい。だから、ロングドライブでも本当に疲れにくい。

車検証によると、前軸荷重は1.2リッターガソリンより70~90kg重いのだが、少なくともディーゼル単独で運転するかぎりは、ノーズヘビー感はまるでない。山坂道に踏み入れて意地悪に振り回しても、この食パンのような姿カタチからは想像できないほど路面にねっとりと吸いつく。その低重心感あふれる所作も変わらず素晴らしい。カングー独特のねっとりとした接地感はキレのいいガソリンでも十二分に美味ではあるが、ねばりの強いディーゼルならではの荷重移動のほうが、クルマ全体のリズム感がより統一されて心地よい。これは今回初めて気づかされた収穫である。

最近はカングーのガチンコ競合車といえる「プジョー・リフター」「シトロエン・ベルランゴ」が日本でも急速に伸(の)して、居住性に実用性、利便性、安全性、質感、経済性、多用途性、鮮度……といった大半の商品性で、後発ならではの強みを見せつけている。しかし、このねっとり低重心感のあるハンドリングだけは、いまだにカングーの圧勝のままだと申し上げたい。また、エンジン単独ではプジョー&シトロエンの1.5リッターディーゼルのほうがパンチが効いているが、同じディーゼルでもカングーの車重は100kg以上軽く、体感的な動力性能はいい勝負である。

いずれにしても、この「巨大な荷室はオマケか?」と思えるほどの乗り心地やハンドリング性能は、歴史的名作として語り継がれるべきものと思う。今回のディーゼルは、そんな2代目カングーを新車で手に入れる正真正銘最後のチャンスだ。限定数は400台だが、すでにディーラーごとの割り当てが決まっているそうだから、ほしいと思っているなら今すぐに最寄りのルノー販売店に飛び込んで、最新の状況を把握したほうがよさそうだ。

(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4280×1830×1810mm
ホイールベース:2700mm
車重:1520kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 SOHC 8バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:116PS(85kW)/3750rpm
最大トルク:260N・m(26.5kgf・m)/2000rpm
タイヤ:(前)195/65R15 95T/(後)195/65R15 95T(ミシュラン・エナジーセイバープラス)
燃費:19.0km/リッター(WLTCモード)
価格:282万円/テスト車=312万6795円
オプション装備:2DIN型カーナビゲーション<MT車用>(24万0900円)/ETC2.0ユニット(2万4200円)/マルチルーフレール(4万1695円)

テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:1086km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:275.6km
使用燃料:18.8リッター(軽油)
参考燃費:14.7km/リッター(満タン法)/16.1km/リッター(車載燃費計計測値)

[webCG 2021年7月19日の記事を再構成]

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