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北見ハッカ通商のハッカ油10ミリリットル入り(右)と詰め替えボトル

北見ハッカ通商のハッカ油10ミリリットル入り(右)と詰め替えボトル

ハッカ産地として知られた北海道北見市。この地からハッカ製品を送り出している北見ハッカ通商(北海道北見市)は天然ハッカにこだわる。一般的なハッカ製品は合成ハッカを用いるが、「天然ハッカを使うと香りが格別。食べても飲んでも大丈夫」と、永田裕一社長は力を込める。この天然由来の安心感が新型コロナウイルス禍での「マスクに一吹き」需要を掘り起こした。特需以前からの人気を押し上げたのは、多彩な使い道。「使い方はユーザーが教えてくれた」という。

マスク爽快でハッカ油が人気に 転機は北海道物産展(上)

創業以来の特需が2020年春に訪れた。メディア情報や口コミで「マスクにワンプッシュすれば、快適に過ごせる」という評判が広がり、注文が殺到したのだ。原料調達やハッカ油精製には支障がなかったが、「瓶に詰める作業がネックになった」(永田氏)。大型の機材を新たに導入して、生産能力をアップ。一時は入手困難の状況が起きたが、「今は安定して届くようになっている」という。

もともと花粉症の人には、「マスクに一吹き」は広く知られていた。春先に決まって売り上げが伸びるのも、花粉症需要が理由とみられる。しかし、コロナ禍で国民のほぼ全員がマスクを常用する事態になり、息苦しさや不快感を少しでもやわらげたいというニーズが生まれた。瓶を持ち歩かなくても済むよう、あらかじめハッカ油成分をしみ込ませたマスク商品も登場。同社の知名度は「一気に高まった」(永田氏)。

ハッカ油という「薄めていない精製オイル」が消費者に受け入れられるまでには、同社の地道な普及の取り組みがあった。北海道物産展で接点を広げる一方、自社サイトで使い方を丁寧に説明。ユーザーの声をすくい上げて、使い道の広さをアピールし続けた。消費者アンケートを通して、実際の利用シーンを掘り起こし、潜在ユーザーに「こんな使い方をしている人もいます」と働きかけた。「今でもお客様の寄せる感想が最大の情報源」と、永田氏はユーザー主導の広がりを感じる。

季節ごとに様々な用途がある。たとえば、暑い時期には枕やシーツにワンプッシュ。涼やかなハッカの香りが寝苦しさを遠ざけてくれる。湯船に垂らせば、素肌から清涼感を得られる。ハッカ特有のクール感は暑さ対策にうってつけだ。

「北海道では昔から虫よけに使われてきた」(永田氏)。キャンプやハイキングのブームもハッカ油人気を後押ししているという。ゴルフや釣りなどの屋外レジャーでも電源を必要としないハッカ油なら、気にせず使える。「赤ちゃんがいる部屋で、科学的成分が主体の虫よけを使いたくない場合にもハッカ油なら安心」。コバエやゴキブリが出そうな場所に吹きかける家庭も珍しくないという。

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