剛性アップで走りの面もグレードアップ

走りもよい。新型ヴェゼルには2種類のパワートレインが用意されている。メインは現行フィットから導入したコンパクト車専用の1.5リッター2モーターハイブリッド「e:HEV」だ。エンジン出力、モーター出力ともにフィットより向上している。特にモーターのピークパワーは131ps、トルクは253Nmとパワフル。118ps・142Nmの1.5リッターガソリンエンジンも悪くないが、やはり走って面白いのはe:HEVの方だ。

かつての1モーターハイブリッドに比べ、燃費が向上しただけでなく静粛性やスムーズさも向上。パワースペックをフィットより強化している上に、ギア比も下げているから発進直後から力強い。電動感の演出も強めており、アクセルオフ時の回生ブレーキの強さを4段階から選ぶことができ、ワンペダルに近い運転も可能だ。

プラットフォームは初代ヴェゼルの流用だが、ボディー剛性感も向上した。高張力鋼板の使用比率を増して横剛性、ねじり剛性、ダンパー取り付け部剛性をアップさせたという。

このように、リーズナブルなコンパクトSUVとは思えないほどの質感アップが随所に施されている新型ヴェゼル。競合となるのは日産のキックスやトヨタのC-HR、ヤリスクロスあたりだろうが、ライバルたちより明確に質感は上。競い合えるのは同じくプレミアム感を追求しているマツダのCX-30ぐらいかもしれない。売れるのも納得の出来栄えだ。

質感の面で新型ヴェゼル(奥)と競い合えるのは、同じくプレミアム路線を突き進むマツダのCX-30(手前)くらいかもしれない
久々の特大ヒットとなりそうな予感がする新型ヴェゼル。気になる方は、ぜひ実物を確認してみてほしい

ここ最近、両側スライドドア軽ワゴンのN-BOX以外に爆発的ヒットがなかったホンダ。この辺りで頑張らないと、ますます軽自動車メーカーのイメージが付いてしまうし、利益率も上がらない。そんな危機感が背景にあるのかは定かではないが、久々に爆発力を感じた新型ヴェゼル。皆さんも気になったら、ぜひ1度見に行っていただきたい。

小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」など。主な著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 出雲井亨)