オンライン就活がもたらした危うさ 内定辞退率高く採用コンサルタント 谷出正直さん

2021/7/30
インターンも説明会も選考もWEBがスタンダードになったコロナ就活(写真はPIXTA)
インターンも説明会も選考もWEBがスタンダードになったコロナ就活(写真はPIXTA)

不況業界の採用停止、選考やインターンシップのオンライン化、最高水準の内定率――。コロナ禍で就職活動をしてきた2022年卒の実態はどんなものだったのか。採用コンサルタントの谷出正直さんがイチから解説する「コロナ就活」の振り返り、後編ではオンライン化の影響と今後の就活のアドバイスを伝えます。

急速に広がったSNS就活

前回はコロナ禍の不安によって学生も企業も前倒しで動き、「インターン参加→早期選考」の流れが加速したという話をしました。マイナビが今年2月に実施した調査によると、9月以前から就職活動準備(インターン以外)をする割合も年々増え、22年卒では半数以上になっています。

マイナビが2月、22年卒を対象に実施した「広報活動開始前の活動調査」

就活準備とは、具体的に何をしているのでしょうか? 同調査で上位に挙がったのは、気になる企業のホームページを見ること、自己分析、それからSNS(交流サイト)やまとめサイトで就職関連の情報を調べること、などでした。不安の中で、できる範囲で情報を集めていたことがわかります。

特に最近、学生と話していて感じるのは、SNSが就活に欠かせないツールになっているということです。最近はツイッターなどのSNSで通称「就活垢」と呼ばれる就活専用アカウントを作る学生が増えました。コロナ禍で直接、学生同士が出会う機会が減少したため、ネットからの情報収集に注力しています。いわゆる「SNS就活」は20年卒あたりから出現し、現在急速に広がりました。

私が昨年、就活相談にのっていた男子学生も、大学3年になると同時にツイッターでプライベートアカウントとは別に就活用のアカウントを作っていました。しかし最終的には見なくなったと言います。

「最初のうちは就活の準備として取り組んでいることをつぶやきつつ、就活に関連することをつぶやく人をフォローしたり、ハッシュタグで適当に検索したりしていたんです。次第にフォロワーが増えてくると、セミナーなどの情報がダイレクトメール(DM)で送られてきて、タイムラインもそうした情報にあふれてしまって。次第にROM専(Read Only Memberという英語の頭文字。ツイートしない『読み専門』の意味)になっていきました。就活を進めていない自分が他の就活生の投稿を見ているととても不安になってしまい……、最終的にはあまり見ないようになりました」

この学生に限らず、「就活垢」にはDMの嵐、というぐらい様々な企業や団体から連絡がくるそうです。特に就活塾系には注意が必要です。例えば「初めての自己分析、一緒にやってみましょう」「人気企業の内定の取り方、教えます」など、就活を始めたばかりの学生が食いつきそうなテーマで相談に乗ると言って近づいてきます。

もちろん役に立つ情報もありますが、中には高額な金額を支払わせる悪質な業者もあります。そういう会社にバイトとして入っている学生から誘われるケースもあるので「友達の紹介だから安心」とも言い切れません。

こうした状況を見ると、就活がオンラインの世界に潜って見えにくくなってしまったという印象です。これから就活を始める人は、SNSの情報収集には危うい面があることも理解しておきましょう。

チャンス広がったが、内定辞退率も高まった

インターンや説明会、面接など、企業と学生のあらゆる接点がオンラインになりました。ディスコが発表した7月1日時点の学生モニター調査ではウェブ面接の経験率は97.9%に及び、9割以上がウェブ面接の実施に「賛成」と答えていることから学生側も歓迎していることがうかがえます。同社がインターンについて学生に聞いた調査(4月発表)でも、22年卒が参加したインターンの7割がオンラインのみの開催でした。

移動の手間が省けて、地方大学の学生も参加しやすくなり、就活の間口は広がりました。一方で、ほとんどがオンラインだったために会社の雰囲気がつかめず、情報は色々集めたはずなのに内定承諾先を決めきれない、という状況も生まれています。

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