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答えと解説

正解(間違っているもの)は(1)気が付いたらいつのまにか手足にしびれが起きている です。

しびれは、長時間同じ姿勢をとっていたり、重い物を持ち上げたりしたときなどでも起こる、ありふれた症状の一つ。脳梗塞や脳出血など、命に関わる「脳卒中」でもしびれは起こりますが、どう見分けたらいいのでしょうか。

順天堂大学医学部附属浦安病院 脳神経内科教授の卜部貴夫さんは「しびれは、椎間板ヘルニアなど整形外科の領域の病気や、糖尿病など内科疾患による神経障害によっても起こります。これに対して脳梗塞や脳出血などで起こるしびれの特徴は、突然起こること。しびれの始まりが明確に分かるようなときは要注意です」と解説します。

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血は、まとめて脳卒中と呼ばれます。これらは「突然、意識を失って倒れる病気」と考えられがちですが、それほどひどい症状で発症するのは一部にすぎません。ダメージを受ける脳の場所や程度によって、比較的軽度な症状で起こることも多く、ときには本格的な脳卒中症状の前に「予兆」といえるような不調が現れる場合もあります。

脳卒中の特徴的な症状としては、体の右半身か左半身に起こる「しびれ」や「感覚鈍麻」、力が入らなくなるような「運動麻痺」など。特に手足と同じ側の顔まで症状が出る場合は、脳卒中の疑いは強くなります。逆に「手足の先だけがしびれている場合は、他の病気のことが多い」と卜部さん。

言葉の症状も起こることが多く、ろれつが回らなくなったりする「構音障害」と、言いたいことが言えなくなったり言葉を理解できなくなったりする「失語」があります。このほか、歩けなくなる、意識が低下する、視野の半分が見えなくなるなども、脳卒中が疑われる症状です。

こうした脳卒中の症状を覚えてもらうための「ACT-FAST(アクト・ファスト)キャンペーン活動」も行われています。顔の麻痺(Face)、腕の麻痺(Arm)、言葉の障害(Speech)の頭文字を組み合わせたもので、最後のTは時刻(Time)の頭文字。症状に気づいたら発症時刻を確認してすぐに救急車を呼ぶことが大切です。

なぜ発症時刻を記録することが大切なのでしょうか。卜部さんは「発症してからの時間が短いほど、治療の選択肢が多くなり、治療後の経過も良好なことが分かっています」と言います。

例えば、脳梗塞に対して最も有効とされる治療法である「経静脈血栓溶解療法」(t-PA治療)は、t-PA(組織プラスミノーゲン・アクティベータ)という薬剤を点滴で投与するもの。約4割の患者は、症状がほとんどなくなるほどに軽減しますが、このt-PA治療は発症してから4.5時間以内でないと有効かつ安全に使用できません。

「いわゆる脳卒中の75%は脳梗塞。その治療は時間との闘いでもあります。近年は、治療技術の進歩とともに、早期治療を開始するための地域医療も充実しています。脳梗塞が疑われたときの対応について、家族、同僚などと話し合っておくことも大切ですね」(卜部さん)

この記事は、「顔がしびれ、コーヒーを口からこぼす…脳梗塞のサイン!?」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/031200009/112100012/(荒川直樹=科学ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年6月28日付記事を再構成]

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