2021/7/29

先ほどのディスコの調査はどの時点をとっても過去に比べて上昇していますし、他社の調査もおおむね上がっています。つまり、企業がこれまでより早めに内定を出しているということです。

なぜ早くなっているのでしょうか? 冒頭で企業の採用意欲が旺盛であるという話をしました。裏を返せば、企業側にも焦りがあります。人手不足に悩む企業やITなど専門人材が欲しい企業は早く内定を出して囲い込んだり、内定辞退を見越して、多めに内定を出したりしているようです。また、欲しい人材に早めにアプローチするためにインターンシップを実施し、さらにそこで接触した学生を“優遇”する企業も多いのです。

インターン→早期選考が定着

ディスコの3月1日時点の調査をよく見ると、内定企業のうち74.7%がインターンシップに参加した企業で、その割合は20年卒と比べて約10ポイントも上がっています。ここから読み取れるのは、インターンが就活と密接に関係している「インターンの就活化」の実態です。

私が昨夏に実施した大手・優良企業への独自アンケート調査(約50社)で各社にインターンの開催目的を聞いたところ、前年と比べて「母集団形成」が最も多いのは変わりませんでしたが、「採用直結」と明言する企業が約4割増えていました。また、インターン参加学生を対象に、通常より早めに選考する「早期選考」を実施する企業は約7割でした。

早期選考は20年卒あたりからじわじわ増えています。インターンから早期選考の代表的な流れとしては、大学3年生の夏にインターンに参加すると、秋頃にインターン参加者限定の早期会社説明会の案内がきます。さらに社員との座談会やリクルーター面談、参加社限定の追加インターンなど、何度か接触があった後に、通常より早いスケジュールの選考へのエントリーを案内され、早ければ3年生の年末までに内定を得る学生もいます。

コロナ禍で採用枠が減るかもしれないと不安に駆られた22年卒の就活生ですから、「インターンに参加すると就活に有利になる」という情報を聞けば、とにかくたくさんインターンに応募しようと行動します。実際に、マイナビが昨年発表した「2022年卒大学生インターンシップ前の意識調査」を見ると、インターンシップ希望参加社数は、20年卒で4.2社、21年卒で5.1社だったのが、22年卒は8.1社と急増していました。

コロナ禍で不安だった学生、人材確保したくて焦る企業、両者の動きが相まって前倒しが進んだのがコロナ就活の特徴と言えるでしょう。

主要インターンシップサイトに掲載されたインターン実施企業数を谷出氏が集計(グラフ横軸の数字は「年卒」のこと。21サイト=2021年卒サイト)

そして足元では、23年卒の夏インターンがすでに始まっています。就職サービス各社のインターン情報サイトから集計すると、夏のピークはこれまで同様、8月ですが、夏インターンの前に6月、冬インターンの前に10~11月の実施も増えており、企業も学生も早めに動くという傾向は続きそうです。

また、23年卒インターン情報サイトで最も掲載数の多いマイナビでは、約44%がオンラインでの実施になっています。未定のところも多いと考えると、実際にはもっと多い可能性があります。インターンに限らず、コロナ就活のもうひとつのキーワードは「オンライン化」です。後編では、オンライン就活の実態や影響とこれからの就活のアドバイスをお伝えします。

谷出正直(たにで・まさなお)
 奈良県出身。筑波大学大学院体育研究科を修了。中学・高校の保健体育の教員免許取得。新卒でエン・ジャパンに入社。新卒採用支援事業に約11年間携わり、独立。現在は、企業、大学、学生、採用支援会社、メディアなど新卒採用や就職活動に関わる約2700名と生きたネットワークを構築。様々な現場の情報やノウハウ、知見、俯瞰(ふかん)した情報を持つ。企業への採用支援、学生への就職支援、大学でのキャリアの授業、大学や保護者への講演・研修、現場情報の発信などを行う。筑波大学同窓会「茗渓会」の理事。
学生参加型コミュニティ 登録受付中
メールマガジン登録