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UFOはなりすまし? 電子戦の覇権争う「カラス」何者

<検証>米国「UFO報告書」最終回

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

2021年6月25日、米議会に「UFO報告書」が提出された。目撃者の証言を含めつつ、その内容を検証するシリーズの最終回をお届けする(第1回第2回)。

◇    ◇    ◇

米国の兵器システム設計者と、ロシアや中国で同じ仕事をしている人たちの間では、目に見えないいたちごっこが続いている。シリア、台湾、ウクライナなどでは、通称「カラス(crows)」と呼ばれる軍事専門家たちが、電磁領域の覇権を争っている。

「時とともに、航空機やミサイルに搭載されているセンサーはどんどん高性能になっていきます」。軍需企業ノースロップ・グラマンの陸海センサー担当副社長マイク・ミーニーはそう語る。「その半面、通常はすぐに、そうしたセンサーをだまして、実際には起こっていないことが起こっていると思わせる新しい方法がいろいろと開発されるのです」

レーダーのオペレーターが、非常に速く動く物体や姿を消す航空機の一団といった、通常ではありえないものを見つけた場合、カラスたちがまず思い浮かべるのは電子戦だ。

「もし敵機を1機目視したとき、突然ディスプレーに表示される敵機が20機になれば、それはスプーフィング(なりすまし)されているのです」とミーニー氏は言う。こうした遊園地のミラーハウスのようなトリックは、レーダーを使って目標を追跡することが多い対空兵器を回避するのに役立つ。

スプーフィングは、「ジンバル」で起きたこととよく似ており、今回の報告書でもその可能性が指摘されている。「未確認空中現象(UAP)は異常な飛行特性を示したとの報告がある。そうした観察結果は、センサーのエラー、スプーフィング、あるいは観察者の誤認の結果とも考えられ、さらに厳密な分析が必要となる」。しかし、スプーフィングがかかわっているとすれば、15年の時点では極めて高度な技術だ。

しかも、キューバにいたロシアのスパイ船が電子戦の極秘ツールを使って情報収集活動に従事していたのだとすれば、それはクレムリンが機密システムを公にしたことを意味する。そうしたツールは、実際の戦闘時に使って相手の意表をついてこそ価値が高くなるはずだ。

「見せなければ見せないほどいい」というのが電子戦の鉄則だと、ミーニー氏は言う。「すべての陣営が、何をいつ見せるかについては極めて慎重です。わたしたちは必要になるまで見せませんし、50年間ずっとそうしてきました」

それに、たとえレーダー画面に映った奇妙なものをスプーフィングで説明できたとしても、パイロットが自身の目で見たものや、ビデオに映った物体についてはそうはいかない。

「何年も前から、わたしたちが信頼して国防を任せている人たちが、正体不明の飛行物体との遭遇を報告してきましたが、彼らの懸念はしばしば無視され、嘲笑されてきました」。ルビオ上院議員は先日、そう語っている。「この報告書は、そうした出来事を記録する重要な一歩ではありますが、これらの空中の脅威が国家安全保障上の重大な懸念であるかどうかを実際に確かめるうえでの第一歩に過ぎません」

今も落ち着かない思いを抱える目撃者たち

20年、国防総省が、流出したUAP事例の情報は確かに未確認物体との遭遇だったと初めて認めたことで、これまで軽視されてきた目撃者たちに一気に注目が集まった。

「わたしや同じ艦の乗組員たちは、UFO体験者として引っ張りだこ状態になりました」とボーリス氏は言う。「米政府が『あれは未知のものであり、すべてほんとうのことだ』と言ったという、ただそれだけのことでです」

報告書のあいまいな内容は、UFO研究家や具体的な説明を求める人々を満足させるものではないだろう。「未確認空中現象(UAP)に関する質の高い報告は数が限られており、UAPの性質や意図について、しっかりとした結論を引き出すことが難しい」と報告書にはある。

しかし04年の当時は、UFOを報告する者が着せられる汚名のせいで、海軍はより多くの答えを得る機会を逃したと、ディートリック氏は言う。「われわれは前方監視用赤外線カメラを搭載していました。さまざまな方法で妨害もできたはずです。なぜあの空域に注意を向けて利用できるものを利用し、より多くの証拠を得ようとしなかったのでしょうか」

その遭遇以降、今では国防総省における未確認飛行物体をめぐる議論は一変している。新たな手続きでは、職員は目撃事例を報告することを奨励され、軍指導者たちはそうした報告を真剣に受け止めている。

ディートリック氏はメリーランド州の海軍兵学校で6年以上にわたって倫理学を教えた後、21年5月に少佐として海軍を退いた。退役直前、氏はUAPの目撃者として、初めて正式な記録に名前を記載した。空中で見た奇妙なものを報告するパイロットたちがもう不名誉を背負わずにすむよう、氏は願っている。そして、あのとき見たものがいまだに正体不明であることに、今も落ち着かない思いを抱えている。

ディートリック氏は言う。「もしそれが存在していて、自分たちものではないことが明らかであるなら、われわれには前向きな選択肢はあまり残されていません」

ボーリス氏は自分なりの答えを求めて、カタリナ島にカメラを設置することを計画している。04年にカタリナ島付近で遭遇したあのUAPを探すためだ。一般の人たち、政治家、カラス、軍事関係者などと同じように、空を見上げて、あそこにはいったい何が飛んでいるのだろうかと不思議に思いながら。

(文 JOE PAPPALARDO、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年7月4日付]

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