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有森裕子 逆境下での東京五輪、選手に求められるもの

2021/7/22

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マラソンのスタート地点とフィニッシュ地点が設置される、札幌の大通公園(写真=123RF)
マラソンのスタート地点とフィニッシュ地点が設置される、札幌の大通公園(写真=123RF)
日経Gooday(グッデイ)

いよいよ東京五輪(開会式は23日)が開幕し、8月24日からはパラリンピックが始まります。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中ではありますが、開催が決まった今、徹底した感染対策のもと、人々の命や健康を何よりも優先して無事に大会を終えてほしいと願うばかりです。

五輪イヤーに日本記録を樹立する選手たちのメンタルの強さ

厳しい戦いをくぐり抜けて切符をつかみ取った代表内定選手たちは、本番の大舞台に向けて調整期に入っていると思います。

陸上も、五輪の最終代表選考会を兼ねた日本選手権が6月末に終わり、五輪本番さながらの白熱した戦いを見ることができました。男子110メートルハードルでは2度のフライングの後で集中力が切れそうな中、泉谷駿介選手(順天堂大)が今シーズン世界3位に相当する日本記録を樹立し、男子3000メートル障害の三浦龍司選手(順天堂大)も、転倒したにも関わらず日本記録を更新。五輪イヤーの勢いと、選手たちのメンタルの強さを見ることができました。

また、9秒台の選手たちがスタートラインに並んだ注目の男子100メートルでは、多田修平選手(住友電工)が悲願の初優勝を飾り、3位の山縣亮太選手(セイコー)とともに五輪の切符を獲得。これまで大きなタイトルに縁がなかった彼ですが、最後まで諦めない姿勢を貫いて土壇場で最高の結果をたたき出しました。

男子100メートルで優勝した多田選手(左から2人目)

5000メートル女子に関しては、廣中璃梨佳選手(日本郵政G)、新谷仁美選手(積水化学)、田中希実選手(豊田自動織機TC)が表彰台に上がり、力のある選手が順当に結果を出したという印象でした。東京五輪で5000メートルと1500メートルの2種目に出場する田中選手のお母さんは、私が現役時代に活躍されていた市民ランナーです。北海道マラソンで2度も優勝され、強かったことをよく覚えています。田中選手のコーチであるお父さんも3000メートル障害の元実業団選手で、そんな陸上一家に生まれた彼女が、同日に2種目レースがあるというハードな日程にどう挑むのか、楽しみです。

練習環境も世の中の雰囲気も、明らかに例年とは異なり、選手たちにとっては逆境の中で迎えることになった五輪。自分の思いや周囲の思い、さまざまな現実に悩み、向き合いながら、自分が今やるべきことに向き合って結果を出す選手たちの奮闘には、心を打たれます。五輪の舞台での活躍を期待したいと思います。

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実力を発揮するために必要なのは「調整力」と「順応性」