2021/7/30

育休の分割取得が可能に 育休取得状況も公表へ

育児休業は原則分割して取得することができませんが、先ほど述べた新制度(出生時育児休業)とは別に、分割して2回まで育休取得が可能となります。分割できることで、さらなる男性の育休取得が期待されます。

現行制度では、保育所に入所できないなどの理由で1歳以降に育児休業を延長する場合、育休開始日は1歳(期間は1歳から1歳半まで6カ月間)と1歳半(期間は1歳半から2歳までの6カ月間)に限定されています。これでは、各期間の開始時点でないと夫婦が交代する形での育休取得ができない(延長期間の開始時点でないと育休自体を取得できない)といった課題がありました。それが1歳以降の延長について開始日が柔軟化されることになりました。この改正によって、各期間の途中でも夫婦で交代して取得できるようになります。

これらの改正における施行日は、公布後1年6カ月以内の政令で定める日となります。

さらに改正法では、従業員1000人超の企業を対象に、男性の育休取得率をはじめとする育児休業の取得状況について公表が義務付けられます。これは23年4月1日から開始されます。公表されるとなれば、各社において相当気合を入れて取得を奨励するようになるでしょう。

契約社員など雇用期間が定められた有期雇用者の育休取得について、現行では(1)引き続き雇用された期間が1年以上、(2)子が1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと、といった2つの要件があります。22年4月1日からは(1)の期間要件が撤廃されることとなり、(2)のみになります。もっとも改正法でも、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は、労使協定によって適用を除外できることになっています。このため、「どれだけ働き続けていれば育休が取れるか」という条件は、現実には企業により異なってくるでしょう。

共働きの子、夫婦どちらが扶養か基準明らかに

近年、夫婦共働きで子を育てる夫婦共同扶養が増えています。健康保険においては、収入が多い方の扶養とするのが原則ですが、年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となる懸念がありました。

そこで、厚労省は「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(21年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)」で明確な基準を策定しました。21年8月1日から適用が始まります。

夫婦共働きの場合、子は原則としては収入が多い方の被扶養者となります。夫婦双方の年間収入の差額が1割以内の場合、届け出を提出するだけで、子は主として生計を維持する者の被扶養者となることができます。その他にも具体的な基準が示されました。

男性の育休取得に弾みがつく可能性に期待

子育ては女性がするものだという固定観念は過去のものです。男女が共に力を合わせて子育てができるよう法律の見直しも進められています。ここまでポイントを解説してきました。これらを改めて眺め直した際、今回の改正が「従来より1歩進んだ」と個人的に感じるのは、出生後8週間以内の出生時育休期間中に関して、一定の就業が認められたという点です。

なぜなら、現行制度では「恒常的・定期的」のところでご説明したように、「週2日で1日3時間ずつ」といった働き方は、育休中に一切認められていないからです。これが可能となれば、業務の引き継ぎなどを理由になかなか進まなかった男性の育休取得に弾みがつく可能性が高まります。

ただし、これはあくまでも出生直後の時期における柔軟な枠組みであるため、出生時育休ではなく通常の育休を取る場合は従来どおり、労使の話し合いによる一時的・臨時的な就業に限られる点に注意しなければなりません。

細かな留意点はあるものの、今回の法改正によって、さらに男性の育休取得が進むよう機運を高めていきたいものです。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開業、その後グレース・パートナーズ株式会社を設立し代表に就任。人事労務・社会保険面から経営を支援し、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。また、出産後も女性が働き続けられる雇用環境の整備をはじめ、女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」(ソーテック社)。新聞・雑誌などメディアで活躍。